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新しい観点別評価について【後編】

新しい観点別評価について【後編】

前回は、新しい3つの観点の意味、中でも「主体的に学習に取り組む態度」について、考え方の部分をお伝えしてきました。今回は、具体的な実践方法について、例を挙げながらご説明したいと思います。

どの学習活動が、どの観点の評価に関係してくるのか

はじめにお断りしておきますが、これは各教科の先生によって異なる部分ですので、一つの例として参照していただければと思います。
まず、資料-45教科(国語・社会・数学・理科・英語)の評価材料のイメージを表にまとめたものです。

資料-4 3つの観点の評価材料イメージ(5教科)

5教科(国語、社会、数学、理科、英語)については定期テスト・単元テストなどで「知識・技能」や「思考・判断・表現」をわかりやすく測定することができます。

定期テストでは一般的な「知識・技能」をためす問題に加えて、さまざまな図表やグラフなどの資料を読み取る問題、それらを考察して自分の考えなどを記述する問題なども出題されます。こういった問題については「思考・判断・表現」の評価になることも多いと思われます。また、英語などのように話す力をためすためには、パフォーマンステスト(会話・発表形式)が実施されることもあります。

主体的に学習に取り組む態度」については、ノートレポートなどの提出物が重要になってきますが、提出物は「とりあえず出しておけば良い」というわけではありません。(もちろん、期限や提出方法を守るのは当然のことです。)前回ご説明した通り、自分の学習をより良くするための取り組みなども評価されます。厳しい言い方かもしれませんが、提出物は出さなければC、期限を守って提出してB、内容によってAになるかどうか…くらいに考えておいた方が良いと思います。提出物については、後で少し例を挙げたいと思います。

次に実技教科について、資料-5にまとめてみました。5教科との違いは、実技と呼ばれるだけあって、実技テスト(音楽の歌や楽器のテスト、体育の技能のテストなど)や作品評価(音楽・美術や技術・家庭など)がある点です。
とは言え、ここで誤解しないでいただきたいのは、実技の教科も決して技能だけで評価が決まるわけではないということです。定期テストをはじめ、さまざまな提出物、そして授業中の取り組みなど、評価材料は意外とたくさんあります。つまり、技能面で優れているから5は間違いない、とは限りませんし、反対に技能面がニガテなのでもうこの教科はあきらめる、必要もないわけです。ニガテであっても技能以外の部分で成果をあげることは可能ですので、粘り強く取り組みましょう。

資料-5 3つの観点の評価材料イメージ(実技教科)

授業中の取り組みや態度について

ところで、資料-4資料-5の中には「授業中の取り組みや態度」とあります。すべての観点に影響する可能性がありますが、特に「主体的に学習に取り組む態度」には大きく影響すると思った方が良いと思います。ここでは具体例が必要と思われますので、資料-6にいくつかのヒントを示しました。

まずは「忘れ物をしない」ということ。これはすべての教科について言えることですが、特に実技教科については授業で使用する用具や服などがないことによって、授業への参加が難しくなります。
体育があるのに体操着を忘れた、などがその例ですが、特に週に1時間程度しかない音楽や美術の授業では、忘れ物はかなり大きなダメージを受けます。友達に借りるという手もないわけではないですが、トラブルの原因にもなるため避けた方が良いでしょう。それでも忘れてしまった…という場合には、どこで挽回するかを考えた方が健全かと思います。

また、仲間との相互協力の姿勢が評価される場面もあります。授業では班(グループ)活動もありますし、体育の競技(集団の種目だけでなく個人の種目も含めて)や音楽の合唱、美術の大掛かりな制作などもそうでしょう。特別教室への移動がある場合には、短時間で効率良く準備片付けをする必要もあり、仲間との協力は不可欠です。

他者とのコミュニケーションという意味では、授業における発言発表も大切です。前回ふれましたが、挙手は回数を競い合うものではありませんし、授業は先生と二人で行っているものでもありません。発言・発表の目的は、自分の考えや意見、思ったこと、感じたことなどを他者に伝えることであり、反対に他者の意見に耳を傾けたり共感したりすることも大切です。
まあ、そうは言っても、他者との交流はあまり得意ではない生徒もいると思います。その場合も、「2学期から、毎回の授業で1回は発言してみよう」など、少しずつ挑戦してみてはいかがでしょうか。

資料-6 授業中の取り組みのヒント(例)

ノートやレポート、課題などの提出物について

最後に提出物について、ポイントとなりそうなことがらを資料-7にまとめました。まず期限についてですが、期限に遅れた場合にどう対応するかは先生によって判断が分かれるところです。忙しい中を頑張って期限を守った生徒と同じ扱いというのも、反対に、そもそも何も取り組まなかった生徒と同じ扱いというのも、あまり公平ではないような気がします。

では、その中間を取るか…という話なのか、ここは難しいところです。
ただし、多くの中学校では「提出物は期限を守るように」と指導しています。そして厳しい表現にはなりますが、社会的には(仕事の世界では)期限を守れなかったら成果物はゼロと見なされることも多い…などを考えると、「提出物は期限を守るように」は単なるスローガンではなく、「期限を守らないと、本来ならば厳しい評価(つまり評価ゼロ)になっても仕方がないね」というメッセージが含まれているものと考えられます。
何か特別な事情があって遅れそうな場合には事前に先生に相談しておくとか、不注意で出し忘れた場合にも、まずはすみやかに先生に提出しに行くなどの対応が考えられます。

資料-7 提出物への取り組みのヒント(例)

なお、中学校ではどの教科でもノート提出という場面がよくみられます。資料-7にいくつかの例を挙げておきましたが、授業中に先生が板書したことがらがしっかり取れている、というのはある意味当然のことで、家庭学習の中でさまざまな学習内容を整理したり、できなかった問題を解きなおしたり、次の学習に向けての改善点などを記したり、これまで学習した内容を活用して応用・発展的な問題に粘り強く取り組んだり、課題についての自分の考えをまとめたり…といった活動が重要になってきます。教科の特性もあり、先生の方針にもよりますので、そういう意味でも低学年のうちからいろいろ試行錯誤しつつ、先生にアドバイスしていただくのが良いと思われます。
最近は、毎回の授業のあと「ふりかえりシート」などを記入させるケースも増えてきました。【前編】でも述べましたが、特に力を入れて欲しいのは「今後の改善策」です。何度も繰り返しますが、自らの学習を振り返ることは、まさに自分の学習をより良くするための学習の調整であり、主体的に学習に取り組む態度の評価にも影響するからです。

さて、今回は2回に渡って「新しい観点別評価」についてお伝えしてきました。この記事については、これまでの私の中学生指導の経験や、中学校で指導・評価にあたっておられる先生方への取材、保護者の方からのご相談内容などさまざまな情報をもとに書かせていただきました。しかし、新しい学習評価はまだ始まったばかりですから、この記事の内容も完成形とはまったく考えておりません。まさに学習の調整のごとく、これからもより良い情報提供を目指してブラッシュアップをはかっていきたいと思います。最新情報はオンライン進路セミナー等でも随時お伝えしていきますので合わせてご視聴ください。

いよいよ2学期がスタートします。各教科でこれまでできなかった取り組みに挑戦するには良い機会ではないでしょうか。ぜひ、保護者のみなさまのサポートをお願いいたします。

この記事を書いた人

浅野 剛

あさの たけし

浅野 剛

進研ゼミ 高校受験総合情報センター センター長

元大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。30年以上にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は、中学生・保護者向けオンラインセミナーの講演をはじめ、中学校での進路講演なども担当。

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