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【千葉県】2025年度(令和7年度)公立高校入試結果
2025年度(令和7年度)千葉県の公立高校の入試結果を、前年と比べてどう変化したかに注目しながら解説します。
※この記事で特に記載のないものは、全日制課程について説明しています。

【千葉県】2025年度公立高校入試の動向
公立高校志願率は約70%で過去5年大きな変化なし

ここでの「公立高校志願率」は、公立中学校に通う中3生徒のうち、公立高校に出願した人の割合のことです。つまり、千葉県全体の公立高校志望の強さを示します。
千葉県内の公立中3生徒数は、2024年度までは微増していましたが、2025年度は前年度から1,125人減少し、48,229人でした。生徒数の減と同様に、公立高校志願者数も前年度と比べて減少しましたが、公立高校志願率では前年度から0.3ポイント上昇し70.2%となりました。
過去5年間の推移を見ると、だいたい70%前後で安定しているのが千葉県の公立高校受検動向の特徴と言えます。
公立高校募集人員の調整により受検倍率は前年度より若干上昇

「公立高校志望の強さ」を示す公立高校志願率が横ばいである一方で、実際の「公立高校の競争率」である受検倍率は、2025年度は前年度の1.11倍から若干上昇し1.13倍でした。
考えられる要因の1つは、公立高校募集人員の縮小です。
千葉県では毎年、生徒数の推移などを考慮し、公立高校の募集人員が調整されています。最近5年間を見ると、公立中3生徒数に対する公立高校の募集人員の割合は、2021年度の64.5%をピークに縮小し続け、2025年度は61.6%。つまり、公立中3生の"進学先の受け皿"としての公立高校の受け入れ枠が徐々に小さくなっています。前述の通り、公立中3生のうち公立高校を志願する割合はほとんど変わらないため、結果的に受検倍率が上がる原因になっていると言えます。
なお全体の受検倍率は前年度よりも若干上昇しているものの、全校が上昇しているわけではなく、地域や高校、学科によって違いが見られます。くわしくご紹介しましょう。
【千葉県】2025年度高校別の入試結果(第1~4学区)

上図は、県立高校の第1学区から第4学区にある進学指導重点校の普通科と中高一貫教育校2校の最近3年間の受検倍率の推移です。
東葛飾高校の高倍率は周辺の生徒数増と好調な進学状況が影響か
2024年度(令和6年度)入試の1.86倍から受検倍率が大きく上昇したのが、第3学区柏市にある東葛飾高校で、1.96倍でした。
1つ目の要因は、東葛飾高校から近い通学圏である、柏市、流山市の公立中3生徒数の増加と考えられます。前述の通り、千葉県全体では前年度より減少しましたが、この2市は計200人以上も増加しました。
2つ目の要因としては、東葛飾高校の好調な進学状況が大きく影響しているでしょう。高校の発表によると、近年国公立大学の進学者数が大きく増加。さらに学校推薦型の入試で国公立大学の医学部や薬学部へ進学する生徒もいます。
また東葛飾高校ではキャリア教育の観点と、地域の医療ニーズへの対応から、「医歯薬コース」が設置されています。こうした特徴もあり、国公立大や医歯薬系大学への進学を希望する生徒が東葛飾高校に多く集まっているのかもしれません。
3つ目に、東葛飾高校は併設中学校からの進学者がいるため、他校と比べて募集人員が少ない(240人)ことが挙げられます。
上記の理由から、東葛飾高校は今後も高倍率が続くものと考えられます。
船橋高校(県立)・佐倉高校は前年度高倍率の反動で倍率が下がった可能性
船橋高校(県立)と、佐倉高校は前年度よりも大きく倍率を下げました。
グラフが2024年度を頂点とする山なりになっていることからわかるように、2024年度の受検倍率が2023年度よりも大幅に上がったため、2025年度は高倍率を嫌った受検生が他の高校を志願したと見られます。
こうした倍率の反動はよく起きるので、志望校選択の際には、前年度だけでなく前々年度の倍率も参考にするとよいでしょう。
千葉高校(県立)は倍率下降が続く
第1学区にある中高一貫教育校である千葉高校(県立)は、過去3年間の受検倍率が年々下降しています。
考えられる要因の1つは、千葉市内の生徒数減です。千葉市内の公立中3生の人数は、2022年の7,763人から2024年は7,304人に減少。千葉高校(県立)は隣接する学区からの受検も可能ですが、所在地である千葉市の生徒数の大幅な減少は、3年前と比べて受検倍率が下がった一因であると言えそうです。
もう1つは千葉高校(県立)の大学合格状況(※)です。国公立大学の合格状況は、2022年度卒業生のうち現役合格の割合が46.3%だったのに対し、2023年度は43.4%、2024年度は36.6%と減少傾向。また私立大学なども含めた現役進学率も、2022年度76.7%、2023年度67.8%、2024年度66.0%と下降が続いています。こうした状況から、国公立大学など難関大学への現役進学を希望する中学生のうち、千葉高校(県立)以外の高校を選ぶ生徒が増えていることが推測されます。
※千葉県立千葉高等学校「令和6年度大学入試結果」より。
【千葉県】2025年度高校別の入試結果(第5~9学区)
普通科・理数科くくり募集の長生高校・成東高校は上昇傾向

第5~9学区は第1~4学区と比べて、学校所在地の公立中3生徒数が少ない地域ということもあり、例年比較的穏やかな入試となる傾向がありますが、長生高校は過去3年の受検倍率が上昇傾向です。考えられる要因は3つ。
1つ目は、2024年度から普通科と理数科のくくり募集となったことで、学科にかかわらず長生高校入学を希望する受検生が出願しやすくなったこと。
2つ目は2025年度からの新制服への期待。
3つ目は2025年度入試からの千葉市立稲毛高校の募集停止の影響で、千葉市内からの受検生の流入があったと見られます。
木更津高校は前年度から下がり1.27倍という結果となりました。
【千葉県】2025年度理数科は前年度と比べると穏やかな入試に

2024年度は船橋高校(県立)の2.15倍など高倍率の高校が多かったのですが、2025年度は全体的に穏やかな入試となりました。
普通科とのくくり募集を行う長生高校と成東高校を除いた理数科の募集人員の合計は200人で2024年度も2025年度も同じ。対する受検者数は2024年度297人から2025年度238人に減少し、理数科全体の受検倍率(受検者数/募集人員)は、1.49倍から1.19倍に大きく下がっています。
理系の大学進学に強い私立高校などの影響も考えられ、今後の動向にも注目したいところです。
【まとめ】倍率に左右されずに志望校合格を実現するためにしっかり対策を
ここまでご紹介したように、千葉県公立高校は志願率、受検倍率とも高い厳しい入試です。
また年度や地域、高校によって違いはあるものの、大学進学などの実績のある高校の倍率は安定して高いことからもわかるように、将来を見据えた視点で高校が選ばれる傾向にあります。
志望校を選ぶときは、どんな高校生活が送れるのか、また自分が希望する進学が実現できそうかという視点で探すことが大切です。
そして何よりも大切なのは、倍率に関わらず、合格できる内申点と実力をつけること。第一志望校合格を目指せるよう日頃からコツコツ頑張っていきましょう。