最新入試情報
【愛知県】2025年度(令和7年度)高校入試全体概況について
2025年度(令和7年度)の愛知県高校入試結果の全体概況について解説します。

県内公立高校進学希望者は減少傾向
進路希望状況調査の結果から見える愛知県の志願動向の特徴は、公立高校への進学希望者が再び減り始めたことです。
2024年(令和6年)12月に中学3年生に実施された進路希望状況調査(第2回)では、県内公立高校(全日制課程)への進学希望者は62.4%で、前年度より1.6ポイント減。一方、県内私立高校(全日制課程)への進学希望者は22.8%で、前年度より1.0ポイント増でした。
2023年(令和5年)12月の調査では県内公立高校(全日制課程)への希望者が増えたのですが、再び減少に転じています。2017年度(平成29年度)の公立高校入試制度変更などの影響で公立高校への希望者が減少。その後、私立高校授業料無償化や、コロナ禍で在宅授業を経験し、「毎日通学しなくても学習は可能である。」ことや「通学時間が短い方が良い」など、様々な価値観で志望校検討されるようになったことで、全日制高校希望者の減少傾向が現在も続いていると考えられます。
私立高校の学校説明会では、今後の中学生数の減少を危惧し、公立高校との違いを明確化し、私立高校を第一志望として検討してもらいたいという意向が見えてきます。一部の私立高校では、大学受験の総合型選抜や学校推薦型選抜など年内に行われる入試の合格者数につながるような、探究活動やICTを利活用してプレゼンテーションを取り入れるなど、様々な取り組みを強化する学校もあります。そのような取り組みを重視することや、全国的な高校授業料無償化の流れに後押しされ、私立高校を第一志望校とする生徒も増えている状況です。

県外全日制高校・通信制高校への希望者が増加
ここ数年進路希望者が増え続けているのは、通信制高校です。特に2020年12月の進路希望状況調査から希望者が増え始めていることがわかります。新型コロナ感染症拡大により休校や自宅学習を余儀なくされたのが2020年3月。コロナ禍を経て、必ずしも毎日通学にこだわらなくてもよいと考えるご家庭が通信制を選択することも出てきました。
県外の全日制高校希望者(主に私立と推定)も増え続けています。これは、県内に限らず、自分の気に入った高校を検討した結果、県外にも目を向けるご家庭も増えていると考えられます。
このように、幅広い視野で志望校を選択するご家庭が増えています。皆さんも自分が入学したら「こんな生活を送ってみたい。」「この学校だったらこんなことができそうだ。」など、高校入学後を見据えて、行きたい高校を志望校として検討してみましょう。

県内私立高校出願者数は入試日によって大きく変動
例年1月中旬に愛知県私学協会のWebサイトで、私立高校(全日制)の志願状況が発表されます。2025年度は、2024年度と比較して延べ志願者数が1,628人減少となりました。2025年度は2024年度と比較してどのような状況だったのか確認してみましょう。
愛知県私立高校入試は日程が3日間あり、入試日程の異なる最大3校の受験が可能です。年度ごとに何日目にどの高校の入試が行われるか変化するため、受験校の組み合わせの検討もとても大切になります。
2024年度は2、3日目だった高校のうち5校が2025年度は1日目へ日程変更し、1日目の実施校数は24校(2024年度は21校で3校増)、全体として志願者数は増加。2日目は1日目へ2校変更、1日目から2校変更で増減なしの15校(2024年度は15校)でしたが、志願者は減少。3日目は1日目へ3校が日程変更したことで11校(2024年度は14校で3校減)となり、志願者数が減少しました。
各高校の志願者数はどうだったのか、確認してみましょう。
2025年度 | 2024年度 | 差異 | |
---|---|---|---|
1日目 | 34,228 | 31,370 | 2,858 |
2日目 | 23,532 | 26,087 | -2,555 |
3日目 | 19,470 | 21,401 | -1,931 |
77,230 | 78,858 | -1,628 |
1日目は入試日程変更の影響をうけ、志願者分散
2025年度入試においては、2024年度に2日目だった名古屋高校、3日目だった愛知高校など5校が1日目に変更した結果、滝高校、愛工大名電高校などと入試日程が重なり、志願者が分散。日程を変更した各高校では名古屋経済大学市邨高校を除いた4校で志願者数が減少しました。
1日目に入試日程を変更した5校の志願者数の差異合計は583人減少となりました。
高校名(昨年度入試日程) | 2025年度 志願者数 | 2024年度 志願者数 | 志願者数 差異 |
---|---|---|---|
愛知高校(3日目) | 1,507 | 1,987 | -480 |
中部大学第一高校(3日目) | 1,214 | 1,228 | -14 |
名古屋高校(2日目) | 991 | 1,323 | -332 |
名古屋たちばな高校(2日目) | 1,739 | 1,767 | -28 |
名古屋経済大学市邨高校(2日目) | 1,055 | 784 | 271 |
合計 | 6,506 | 7,089 | -583 |
2024年度、2025年度ともに1日目で入試日程を変更しなかった高校の志願者数も、選択肢が広がり、志願者が分散し、志願者を減らした学校が多くあります。その中でも200人以上志願者を減らした学校を表にまとめてみました。特に愛知工業大学名電高校は、1,206人と大幅に志願者数を減らしています。これは同じ成績層の生徒が併願する、名古屋高校、愛知高校が1日目に日程変更してきた影響と考えられます。
高校名 | 2025年度 志願者数 | 2024年度 志願者数 | 志願者数 差異 |
---|---|---|---|
愛知啓成高校 | 975 | 1,232 | -257 |
愛知工業大学名電高校 | 2,916 | 4,122 | -1,206 |
愛知みずほ大学瑞穂高校 | 1,251 | 1,576 | -325 |
星城高校 | 4,089 | 4,290 | -201 |
滝高校 | 973 | 1,246 | -273 |
合計 | 10,204 | 12,466 | -2,262 |
3日目は大学附属高校に志願者集中
2025年度の3日目の状況です。2024年度は、愛知高校の入試日が3日目だったのですが、1日目に移動したため、中京大学附属中京高校、名城大学附属高校の2校に志願者が集中しました。どちらの高校も大学附属高校で、他大学進学を目指すコース(クラス)と附属大学進学を目指すコース(クラス)など複数の学科、コース、クラスがあり公立併願校として人気が高い学校です。
私立高校が入試日程を変更することで、3日間の受験校の組み合わせが大きく変わります。私立高校の合格発表が公立高校の出願より前にあるため、公立高校第一志望というご家庭こそ、行ってもよいと思える私立高校を確保しておくことで、公立高校を安心して受験できることにもつながりますので、早めに私立高校の見学を行い、併願校を決めていくようにしましょう。
そのためにも私立高校の入試日程を確認するとよいでしょう。愛知県私学協会Webサイトで、5月ごろに日程が発表されますので、あわせてご確認ください。
高校名 | 2025年度 志願者数 | 2024年度 志願者数 | 志願者数 差異 |
---|---|---|---|
中京大学附属中京高校 | 3,542 | 2,865 | 677 |
名城大学附属高校 | 6,852 | 6,117 | 735 |
幅広い視野で志望校選択を
このように、公立高校は県内全日制高校だけではなく、県内・県外の通信制高校や全日制私立高校も含めて志望校を検討する人が増えています。中学生の皆さんは、高校入学後、「どのような高校生活を送りたいのか。」「どのようなことを頑張りたいのか。」を自分なりに考え、希望に合う志望校を幅広い選択肢から検討してみましょう。
進研ゼミ<高校入試情報サイト>では、志望校選択に役立つコンテンツもたくさんご用意しています。ぜひご活用ください。
このような全体の流れを受け、公立高校入学者選抜はどうなったのかを詳しく解説しています。詳細は
【愛知県】2025年度(令和7年度)公立高校入学者選抜結果はどうなった?
をご確認ください。