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【大阪府】2025年度(令和7年度) 公立高校 一般入学者選抜 志願者数の変化

2025年度(令和7年度)の大阪府の高校入試について、全体としては「私⽴⾼等学校等授業料無償化制度」などにより、私立高校を進学先として選択した生徒が増え、公立高校の志願者数は減少しました。ここでは各地域の中学3年在籍生徒数の変化なども考慮しつつ、公立高校志望者数の増加や減少の要因や志望校選択において注意すべきことについて解説していきます。
※一般入学者選抜(全日制高校)の情報となります。
※志願者数÷募集人員で算出する「競争率」を、この記事では「倍率」と表記しています。

【大阪府】2025年度(令和7年度) 公立高校 一般入学者選抜 志願者数の変化

各地域の中3生徒数の増減も、志願者数や倍率の変動要因の1つ

【表1】は大阪府の公立中学校(市町村立) 3年生の、2025年度入試における2024年度(令和6年度)の在籍生徒数と、2024年度入試における2023年度(令和5年度)の在籍生徒数を比較して、増加率が大きい市町村の順に、【表2】は減少率が大きい順に並べたものです。
増加率が大きく、増加数(前年度との差)も多いのは、摂津市、池田市、吹田市など北摂地域の一部などで、一方で減少率が大きく、減少数も多いのは、泉南地区の貝塚市、岸和田市など、また南河内地区の羽曳野市や、北河内地区の寝屋川市などとなっています。
一般的に、志願者数が増加または減少する要因としては、①高校の教育内容や取り組み、②地域の生徒数の増減、③前年度の倍率の影響、④周辺の高校への(からの)移動などがあります。また、倍率が上昇・低下する要因については、①~④に加えて募集人員の増減なども影響します。志願者数の増減も倍率の上下も、一つの要因だけでなく、複数の要因が重なって起こるものです。

【表1】大阪府公立中学校(市町村立)3年生 生徒数増加率の大きい市町村
市町村名 2024年度
(令和6年度)
在籍生徒数
2023年度
(令和5年度)
在籍生徒数
前年度との差 増減率
熊取町 410 372 38 10.2%
摂津市 694 647 47 7.3%
大阪狭山市 535 505 30 5.9%
池田市 785 744 41 5.5%
島本町 290 276 14 5.1%
富田林市 800 768 32 4.2%
吹田市 3,153 3,031 122 4.0%
阪南市 441 433 8 1.8%
忠岡町 139 138 1 0.7%
【表2】大阪府公立中学校(市町村立)3年生 生徒数減少率の大きい市町村
市町村名 2024年度
(令和6年度)
在籍生徒数
2023年度
(令和5年度)
在籍生徒数
前年度との差 増減率
河南町 117 153 -36 -23.5%
豊能町 83 108 -25 -23.1%
太子町 95 116 -21 -18.1%
岬町 68 83 -15 -18.1%
田尻町 71 84 -13 -15.5%
千早赤阪村 31 36 -5 -13.9%
貝塚市 693 804 -111 -13.8%
高石市 418 479 -61 -12.7%
羽曳野市 758 854 -96 -11.2%
柏原市 492 538 -46 -8.6%
岸和田市 1,551 1,692 -141 -8.3%
寝屋川市 1,676 1,807 -131 -7.2%
四條畷市 430 463 -33 -7.1%

普通科では、旭高校、山田高校などの志願者増、豊島高校、箕面高校などは大幅減

【表3】【表4】での「前年度との差」は、一般入学者選抜における2025年度の学校全体の志願者数と2024年度の学校全体の志願者数との差を示したものです。
普通科を設置する高校の中で最も増加した旭高校は、2022年度(令和4年度)に開校した桜和高校や、周辺の私立高校の専願志願者増などの影響もあって志願者数がやや減少していましたが、2025年度は高倍率が続いた東高校からの移動と、旭区に隣接する城東区の中学3年生徒数がやや増加したこともあって、普通科と国際文化科を合わせて54人増と大きく戻しました。
北摂地域について、箕面高校は前年度の高倍率の反動で普通科もグローバル科も大幅に減少し、学校全体の志願者数・倍率は95人減・1.09倍となりました。周辺の桜塚高校(25人増)、山田高校(41人増)、刀根山高校(18人増)などに分散したと考えられます。また、この地域では吹田市、池田市の中3生徒数が増えており、吹田市内の山田高校、吹田東高校などのほか、隣接する豊中市内の桜塚高校、刀根山高校の志願者数増加にも影響した可能性があります。豊島高校は2023年度までは1.3倍前後で堅調に倍率を維持してきましたが、2024年度以降は周辺の私立高校の影響やそれまでの高倍率の反動などから志願者数が減少し、2025年度は定員割れの0.91倍となりました。ただし、異例の低倍率であるため、2026年度(令和8年度)入試以降はまた上昇する可能性もあり注意が必要です。
北摂以外の地域について、山本高校は所在地である八尾市の中3生徒数はやや減少したものの、前年度が1.05倍と低倍率だった反動もあり、2025年度は35人増(1.17倍)となりました。狭山高校は2026年度から「地域社会に関する学科」への改編が予定されていることや所在地の大阪狭山市の生徒数増もあって17人の増、前年度は定員割れの0.98倍でしたが、2025年度は1.05倍とやや回復しました。
信太高校や高石高校のある泉北地区は、都心や北摂地域に比べると私立高校がそれほど多くないため、周辺または都心方面の私立高校への流出もあるものの、高石市、岸和田市、貝塚市の中3生徒数減が大きく影響していると考えられます。同様に、懐風館高校も私立高校への移動に加えて、羽曳野市の中3生徒数減が影響しています。福泉高校は2026年度入試より募集停止となる予定で、2025年度は募集人員が2学級減となったことから敬遠が進んだものと思われます。寝屋川高校については寝屋川市の中3生徒数減もありますが、周辺の私立高校への移動の影響が大きいものと見られます。
このようにさまざまな要因から志願者数や倍率は変化するものです。中学校においても入試直前の進路希望調査の結果(志望者数・倍率など)によって進路指導が行われることも多く、入試の直前になって志望校が変更になることもあります。志望校を検討する際には、第一志望の高校を中心に考えつつ、通学可能な公立高校、私立高校など幅広い高校の学校説明会や体験入学などに参加しておくことをお勧めします。

【表3】普通科を設置する高校で、2025年度に志願者数が15人以上増加した高校(増加数の多い順)
高校名 所在地 学科名 学校全体の志願者数 前年度との差 学校全体の倍率
旭高校 大阪市旭区 普通科 387 54 1.24
国際文化科
山田高校 吹田市 普通科 488 41 1.36
山本高校 八尾市 普通科 328 35 1.17
吹田東高校 吹田市 普通科 420 29 1.31
桜塚高校 豊中市 普通科 433 25 1.20
刀根山高校 豊中市 普通科 420 18 1.17
狭山高校 大阪狭山市 普通科 253 17 1.05
三島高校 高槻市 普通科 434 15 1.21
守口東高校 守口市 普通科 244 15 1.02
【表4】普通科を設置する高校で、2025年度に志願者数が50人以上減少した高校(減少数の多い順)
高校名 所在地 学科名 学校全体の志願者数 前年度との差 学校全体の倍率
豊島高校 豊中市 普通科 291 -101 0.91
箕面高校 箕面市 普通科 385 -95 1.09
グローバル科
信太高校 和泉市 普通科 179 -90 0.75
懐風館高校 羽曳野市 普通科 67 -84 0.34
高石高校 高石市 普通科 293 -73 0.92
交野高校 交野市 普通科 166 -71 0.69
東高校 大阪市都島区 普通科 372 -67 1.18
理数科
英語科
福泉高校 堺市西区 普通科 77 -66 0.48
寝屋川高校 寝屋川市 普通科 338 -59 0.94
西寝屋川高校 寝屋川市 普通科 131 -50 0.55

専門学科では、四條畷高校(文理学科)91人増、桜和高校(教育文理学科)79人増

次に、【表5】【表6】について解説します。東大阪みらい工科高校は2025年度に開校した、基礎・基本から最先端の学びまで幅広い技術教育を行う工科高校です。布施工科高校、城東工科高校が統合されて、旧・城東工科高校の校地にできた高校ですが、2025年度の志願者数は219人で、募集人員245人は満たしませんでした。(機械工学科・電気情報工学科・都市住宅科を合わせた総合募集と工学系大学進学専科の合計)
工業系の高校は全体としては志願者数が減少した高校が多いのですが、東淀工業高校は27人増となりました。西野田工科高校が2025年度に募集停止(今宮工科高校に機能統合)となったことで、一部の生徒が移動したものと思われます。再編が進む工業系高校ですが、2028年度(令和10年度)には生野工業高校、泉尾工業高校、東淀工業高校が統合され新工業系高校(仮称)が、現東淀工業高校の校地に開校し、募集開始する予定です。(生野工業高校は2025年度から募集停止)
文理学科については、これまで高倍率が続いた高津高校は97人減、三国丘高校は52人減、また茨木高校は46人減と、久しぶりに落ち着きました。一方で、四條畷高校は91人増となり、高倍率が続いていた都心の高津高校などを敬遠して、四條畷高校に移動した(または戻った)生徒が多かったものと考えられます。
2022年度の開校以来2年間順調に倍率を堅持した桜和高校(教育文理学科)は、2024年度に0.98倍と低下したものの、その反動もあって2025年度は79人増・1.31倍となりました。教育系専門科目「教育探究」を軸に、1年生は全員が同じ科目を履修し、2年生からは希望する進路に応じて教職教育コース、国際文化コース、理数情報コースの3つのコースに分かれて学習できることが大きな特色となっています。
総合学科の高校は全体的に志願者数が減少しています。興味、関心や進路希望に応じて、幅広い選択科目から学習できるのが総合学科の特色ですが、2024年度以降は周辺の私立高校などに移動するケースも多くなってきたようです。なお、大正白稜高校は2026年度に募集停止となる予定です。
普通科とは異なり、専門学科、総合学科などは地域ごとの高校設置数がそれほど多くありません。入試までの間に志望校を変更する場合もあるので、同じタイプの高校だけでなく、周辺にある普通科の高校や私立高校などさまざまな選択肢を検討しておくとよいと思われます。

【表5】専門学科のみ設置する高校・総合学科を設置する高校で、2025年度に志願者数が20人以上増加した高校
高校名 所在地 学科名 学校全体の志願者数 前年度との差 学校全体の倍率
東大阪みらい工科高校 東大阪市 機械工学科・電気情報工学科・都市住宅科 219 219 0.89
工学系大学進学専科
四條畷高校 四條畷市 文理学科 519 91 1.44
桜和高校 大阪市北区 教育文理学科 315 79 1.31
天王寺高校 大阪市阿倍野区 文理学科 437 30 1.21
東淀工業高校 大阪市淀川区 機械工学科 107 27 0.76
電気工学科
理工学科
堺高校 堺市堺区 機械材料創造科 237 21 0.99
建築インテリア創造科
マネジメント創造科
サイエンス創造科
【表6】専門学科のみ設置する高校・総合学科を設置する高校で、2025年度に志願者数が35人以上減少した高校
高校名 所在地 学科名 学校全体の志願者数 前年度との差 学校全体の倍率
高津高校 大阪市天王寺区 文理学科 464 -97 1.29
福井高校 茨木市 総合学科 94 -54 0.50
三国丘高校 堺市堺区 文理学科 419 -52 1.31
茨木工科高校 茨木市 機械科・電気科・環境化学システム科 123 -49 0.70
工学系大学進学専科
茨木高校 茨木市 文理学科 488 -46 1.36
千里青雲高校 豊中市 総合学科 200 -44 0.83
生野高校 松原市 文理学科 455 -41 1.26
大阪ビジネスフロンティア高校 大阪市天王寺区 グローバルビジネス科 262 -41 1.09
大正白稜高校 大阪市大正区 総合学科 33 -41 0.28
枚方なぎさ高校 枚方市 総合学科 206 -40 0.86
伯太高校 和泉市 総合学科 234 -39 0.98
芦間高校 守口市 総合学科 247 -36 1.03
堺東高校 堺市南区 総合学科 242 -35 1.01
この記事を書いた人
進研ゼミ 高校受験総合情報センター長
浅野 あさの たけし
浅野 剛
元大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。30年以上にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は、中学生・保護者向けオンラインセミナーの講演をはじめ、中学校での進路講演なども担当。

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