最新入試情報
【埼玉県】2025年度(令和7年度)公立高校入試はどうだった?
2025年度(令和7年度)の埼玉県公立高校入試概況についてお伝えします。
※この記事でとくに記載のないものは、全日制課程の一般入学者選抜について解説しています。
※この記事でとくに記載のない年度は「入試年度」です。

志願確定倍率が再び減少に転じる
埼玉県公立高校一般入学者選抜においては2019年度(平成31年度)には1.16倍だった志願確定倍率が、2021年度(令和3年度)には1.09倍まで下がりました。そこから2024年度(令和6年度)にかけて1.12倍まで徐々に上がっていましたが、2025年度(令和7年度)は再び1.10倍まで下がりました。
2024年度入試では、志願確定者数が39,414人と2023年度(令和5年度)より507人減少しましたが、入学許可予定者数も872人と大幅に削減されたため、志願確定倍率は下がりませんでした。2025年度入試では、入学許可予定者数が35,001人と2024年度より129人減少しましたが、志願確定者数が38,587人と2024年度より827人減り、入学許可予定者数の減少を上回ったため倍率が下がりました。
今後、埼玉県では公立中学校等卒業者数はさらに減少することが見込まれているため、募集人員は見直される可能性があります。倍率自体は、募集人員の変更や、さまざまな要因で上下するものです。基本的にはその高校を志望する生徒の成績層が大幅に変わるわけではないため、志望校に上位で合格できる力をつけて、倍率が多少変動しても、あせらず最後まで志望校をめざすことができるようにしていきましょう。
例年各高校の募集人員は6月中旬に発表されています。2026年度(令和8年度)入試の情報は埼玉県教育委員会のWebサイトで発表予定です。

学校選択問題実施校では高倍率校が続出
「学校選択問題実施校」とは埼玉県公立高校入試で数学と英語の学力検査を「学校選択問題」で実施する高校のことです。2025年度は22校で実施されました。どの高校も、大学進学対策にも力を入れていることから、全体的に志願者が集中し、倍率が高めです。とくに理数科は倍率が2倍を超える(表中の赤文字)高校もありました。志願は、同一課程に2学科以上ある高校や、普通科でコース等を設置する高校では、同一高校の他学科等を第2志望として出願できる場合があります。そのため、理数科志望者の中には、理数科を第1志望、普通科を第2志望で出願する生徒もいます。例えば、理数科から先に入学許可候補者が決められる場合は、普通科の第2次選抜に理数科で入学許可候補者とならなかった受験生が加わってくるため、普通科の生徒も実力アップが必要になってきます。
高校名 | 学科・コース・系 | 2025年度 志願確定倍率 |
2024年度 志願確定倍率 |
---|---|---|---|
浦和高校(県立) | 普通科 | 1.47 | 1.38 |
浦和高校(市立) | 普通科 | 1.88 | 1.75 |
浦和第一女子高校 | 普通科 | 1.31 | 1.37 |
浦和西高校 | 普通科 | 1.45 | 1.43 |
大宮高校 | 普通科 | 1.51 | 1.41 |
理数科 | 2.23 | 2.48 | |
大宮北高校 | 普通科 | 1.48 | 1.39 |
理数科 | 2.25 | 1.98 | |
春日部高校 | 普通科 | 1.38 | 1.50 |
川口北高校 | 普通科 | 1.28 | 1.47 |
川口市立高校 | 普通科 | 1.68 | 1.26 |
普通科 スポーツ科学コース |
1.43 | 1.64 | |
理数科 | 1.33 | 1.65 | |
川越高校(県立) | 普通科 | 1.47 | 1.47 |
川越女子高校 | 普通科 | 1.18 | 1.30 |
川越南高校 | 普通科 | 1.48 | 1.39 |
熊谷高校 | 普通科 | 1.05 | 1.11 |
熊谷女子高校 | 普通科 | 1.02 | 0.99 |
熊谷西高校 | 普通科 | 1.02 | 1.17 |
理数科 | 0.73 | 1.43 | |
越ケ谷高校 | 普通科 | 1.35 | 1.39 |
越谷北高校 | 普通科 | 1.27 | 1.16 |
理数科 | 2.05 | 1.53 | |
所沢高校 | 普通科 | 1.30 | 1.43 |
所沢北高校 | 普通科 | 1.26 | 1.11 |
理数科 | 2.08 | 1.35 | |
不動岡高校 | 普通科 | 1.35 | 1.33 |
和光国際高校 | 普通科 | 1.20 | 1.46 |
外国語科 | 1.24 | 1.48 | |
蕨高校 | 普通科 | 1.33 | 1.50 |
外国語科 | 1.43 | 1.40 |
地区によっては中学3年生の少なさが影響して志願確定倍率低下
例年、学校選択問題実施校は高倍率校が多いのですが、2025年度入試において熊谷西高校 理数科、2024年度入試で熊谷女子 普通科の志願確定倍率が1倍を切りました。なぜ定員割れが起きたのでしょうか。
実は、熊谷地区の中学3年生の在籍人数に対し、学校選択問題実施校の合計募集人員が多すぎるためだと考えられます。
熊谷地区(旧6学区)には、熊谷高校 普通科320人、熊谷女子 普通科320人、熊谷西 普通科280人、理数科40人と合計960人の募集人員があります。それに対して、中学3年生の人数*は、2,961人で、3校の募集人員は中学3年生の人数の約32.4%を占めています。他の地区の割合と比較し、熊谷地区は突出して生徒数に対する割合が高い状況です。
学校選択問題は、より思考力や応用力が求められる問題です。そのような問題にチャレンジしたいと思う生徒のボリュームに対して、通学圏内の学校選択問題実施校の募集人員が多すぎるため、倍率が低くなっている状況であり、該当地区の高校を受験したい生徒が突出して少ないということではありません。また、とくに理数科は理数系の科目に力を入れて勉強する専門学科のため、志願人数が少ないことも要因となっています。
とはいえ、学校選択問題実施校は全体的に志願確定倍率が高い状況が続いています。このような高校をめざす場合は、学力検査問題で実施される国語・理科・社会の過去問対策の他に、数学・英語は学校選択問題で過去問対策をしなければなりません。そのため、早いうちから志望校を定め、対策を始めることをお勧めします。
*2024年5月に実施された「学校基本調査」より、熊谷地区に生徒が通学すると仮定した範囲(熊谷市、深谷市、寄居町)の中学3年生の合計在籍数。
地区ごとの中学3年生在籍数における募集人員の割合(2025年度・学校選択問題実施校)

志望校は早めに見つけましょう!
埼玉県公立高校の一般募集では、志望校を学校選択問題実施校にするのか、学力検査問題実施校にするのかで対策が異なります。また公立高校入試では、調査書(内申書)が選抜資料に使われますが、そこに記載される中1から中3の各学年9教科5段階評定の成績が内申点(調査書の得点)の対象となります。過去問など最終的な学力アップ対策は中3の夏から始めることが多いですが、内申アップは中1からでも可能です。早めに志望校を決め、目標に向けた対策を心がけましょう。
また、今後、埼玉県では時代の要請に応えられる創造性豊かな人材を育成するため、各高校の特色化を図り、それぞれの高校のブランド力を高める必要性から、魅力ある県立高校づくりとともに統合が検討されています。
「魅力ある県立高校づくり第2期実施方策」に伴い、2026年度(令和8年度)入試において、和光国際高校、岩槻高校、秩父高校、越生高校、八潮南高校、大宮工業高校での募集は無く、それぞれ統合されて新校での募集開始が予定されています。
例えば、大宮工業高校と浦和工業高校は統合し、校名が「大宮科学技術高校」になることが決定し、県内初の工業に関する学科及び情報に関する学科の併置校として、2026年度に開校します。また、和光国際高校は和光高校と統合し、校名は「和光国際高校」のままとなりますが、外国語科が国際科に変わり、普通科と共に募集が予定されています。
公立高校もさまざまな魅力度アップに力を入れていますし、大学受験に向けた新しい取り組みを行っている私立高校などもあります。どのような学校で高校生活を送りたいのか、行きたいと思える志望校を早めに探していくことが、今後の学習のモチベーションともなります。ぜひ早めに志望校を見つけていきましょう。
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