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【大阪府】2026年度(令和8年度):高校入試分析―入試結果はどうだった?

大阪府の高校入試においては、「私立高校授業料無償化制度」もあって、公立高校の志願者が減り、私立高校を「専願」で志願する生徒が増えています。今回は私立無償化の影響について、公立高校・私立高校それぞれの動きなどを考察していきます。
※一般入学者選抜(全日制高校)の情報となります。
※志願者数÷募集人員で算出する「競争率」を、この記事では「倍率」と表記しています。

【大阪府】2026年度(令和8年度):高校入試分析―入試結果はどうだった?

倍率だけではわからない?私立高校授業料無償化の影響

【資料-1】は公立高校の一般入学者選抜における志願倍率(全体)の5年間の推移を示したものです。2023年度(令和5年度)まで全体では1.10倍を超えていた志願倍率は2024年度(令和6年度)には1.05倍、2025年度(令和7年度)には1.02倍まで低下しました。2026年度(令和8年度)の志願倍率は1.05倍でしたので、倍率だけを見ると公立志望がやや復活したように見えるのですが、実際には志願者数は581人減少しています。志願者数が減っているのに倍率が上昇したのは、募集人員が1,403人減少しているためです。
実は2025年度も募集人員が1,539人減っているのですが、志願者数が2,376人も減少しているため、志願倍率は下がっています。志願倍率は志願者数を募集人員で割ったものなので、必ずしも公立志望・私立志望のトレンドを反映するとは限らず、倍率だけを見ても志望校の傾向は見えてきません。そもそも志願倍率は競争率と表現するくらいですから、競争の激しさ(混雑の度合い)を測る指標であって、志望校の動向など全体の傾向を分析するのには必ずしも適していない面があるのです。

【資料-1】公立高校 一般入学者選抜の志願倍率(全体)の推移

2024年度から私立専願者が増加、公立志願率は低下。私立授業料無償化の動きと一致

【資料-2】は公立高校全日制の志願者数を集計し、公立中学校卒業者数(つまり生徒数)で割ったものです。ここでは「公立志願率」と呼ぶことにします。府内の公立中学校の3年生のうち、何%の人が公立高校に志願したかを示した数値です。公立全日制の志願者数は2024年度から大きく減り始め、2024年度は2,437人減少、2025年度は2,594人減少しました。この2年間で5,000人以上志願者数が減少したことになります。そして2026年度は420人減少していますので、まだその傾向は続いているということです。前述の「公立志願率」を見ると2023年度までは約62%で推移していましたが、2024年度からの2年間は毎年約3%ずつ下がっており、2026年度もやや下がっています。いわゆる「公立離れ」は、2024年度以降に加速してきたと言えます。

【資料-2】公立高校 全日制志願者数と公立志願率の推移

次に、私立高校の志願者数について見ていきます。私立高校の入試には、公立高校など他の高校を受験せずに私立高校1校だけを受験する「専願」と、おもに公立高校を第一志望とする受験生が万が一公立高校に合格できなかったときのために私立高校を受験する「併願」があります。前述のとおり、公立高校の志願者数は大幅に減っているわけですから、公立高校を受験しない生徒は、ほとんどが私立高校を「専願」で受験することになります。【資料-3】では私立高校の志願者のうち、専願の志願者数の推移を5年間まとめたものです。2024年度から私立専願者数が大幅に増加しており、2024年度は1,524人、2025年度は1,729人増加しています。この2年間で3,200人あまりが増加したことになります。そして2026年度も682人増加しており、この動きはまだ続いていることがわかります。
なお、公立高校志願者の減少数に比べて私立高校専願者の増加数が少し小さいのは、このデータが大阪府内の私立高校のみの集計であることが主要因です。実際には、受験生の居住する地域によっては、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県の私立高校へ通学することも可能だからです。
ここまでの話の中で、2024年度が大阪府の高校入試にとって大きな転機だったことがわかります。大阪府が授業料無償化制度の段階的実施を始めた2024年度から、これまで以上に受験生が私立高校への進学を選択するようになり、公立高校の志願者数の減少につながっています。

【資料-3】大阪府内の私立高校志願者数(専願者)の推移

高倍率20校のうち8校が文理学科、厳しい競争が続く

ここからは高校ごとの状況について見ていきます。【資料-4】は2026年度の一般入学者選抜において学校全体の倍率が高かった高校20校を、倍率が高い順に示したものです。20校のうち8校は文理学科を設置する高校で、また総合科学科、国際文化科を併置する住吉高校や、普通科のほか理数科、英語科を併置する東高校なども含まれています。ここからは各校の状況について、前年度の志願者数と比べた増加数・減少数と2026年度の志願倍率を、「△△人増(減)・○○倍」という形で表します。
豊中高校は、挑戦層が多かったことに加えて、毎年高倍率の茨木高校(42人減・1.39倍)を敬遠した層なども集まり、106人増・1.79倍となりました。また、2026年度より文理探究科(学際領域に関する学科)が開設された春日丘高校(63人増・1.66倍)は新しい学科での学習に対する期待が大きいと見られ、大幅に増加しています。
前年度は、毎年高倍率となる高津高校を敬遠した層から四條畷高校に移動が見られましたが、2026年度はその反動で四條畷高校が33人減・1.35倍と減少、高津高校が37人増・1.39倍と増加しました。また、前年度は1.19倍と落ち着いていた大手前高校は、2026年度は46人増・1.32倍と増加しています。このように、前年度の倍率が高かった高校は、翌年度は敬遠により志願者が減少することがあります。反対に、前年度の倍率が低めだった高校は、翌年度に志願者が増加することがあります。いずれも「反動」ということですが、翌年度に起きることが多い一方で、数年後に反動が起きることもあります。
参考までに、前年度0.94倍と定員割れになった寝屋川高校は、2026年度は60人増・1.24倍としっかり志願者を集めています。近年の私立無償化の影響により、同じ地域にある私立高校に受験生が流れることはよくありますが、それが一時的なものなのか、何年も続くものなのかは分かれるところです。寝屋川高校の場合は一時的なものであった可能性が高く、わずか1年で盛り返したということは、進学校としての地域の信頼度が高いものと考えられます。
近年の私立高校授業料無償化の流れで、公立高校は志願せず私立高校を専願で受験する生徒が増加している中、ここに掲載した20校をはじめとした倍率が高い高校や志願者数が増えている高校の存在にも目を向ける必要があります。全体の志願倍率が低下しているのは事実ですが、決して競争がなくなったわけではないということも再度押さえておきたいと思います。

【資料-4】2026年度に高倍率だった20校(学校全体の倍率が高い順)
高校名学科名募集人員各学科の志願状況学校全体の志願状況
第1志望者数前年度との差学校全体の志願者数前年度との差学校全体の倍率
豊中高校文理学科360--6441061.79
春日丘高校文理探究科320--530631.66
茨木高校文理学科320--446-421.39
高津高校文理学科360--501371.39
四條畷高校文理学科360--486-331.35
住吉高校国際文化科15722421417231.34
総合科学科1551932
大手前高校文理学科360--476461.32
三国丘高校文理学科320--42341.32
北千里高校普通科320--415311.30
生野高校文理学科360--466111.29
柴島高校総合学科240--309121.29
泉陽高校普通科320--412-111.29
今宮高校総合学科240--308231.28
三島高校普通科360--456221.27
北野高校文理学科360--452451.26
寝屋川高校普通科320--398601.24
東高校普通科20027127393211.24
理数科809910
英語科3623-16
東淀川高校普通科264--32871.24
香里丘高校普通科240--295261.23
富田林高校普通科123--151211.23

志願者数が70人以上減少の公立高校は5校、おもに私立高校(専願)へ移動した可能性

次の【資料-5】は2026年度の一般入学者選抜において学校全体の志願者数が前年度から45人以上減少した高校を、減少数が多い順にまとめたものです。
北摂では山田高校が76人減・1.14倍、池田高校が70人減・1.00倍、千里高校が48人減・1.19倍と大幅に減少しています。このうち山田高校は前年度1.36倍と高め、千里高校も前年度は総合科学科・国際文化科ともに1.48倍(第2志望で合否判定の対象となった人を含めた実倍率)と高倍率だった反動が起きたと考えられます。敬遠した生徒は、いずれも近隣の私立高校へ移動した可能性があります。都心では清水谷高校(71人減・1.14倍)が2023年度以降1.2倍~1.3倍程度の倍率で堅調に推移していましたが、今年度は4年ぶり(2022年度が1.02倍)に落ち着きました。
公立高校の倍率が変動する要因はさまざまですが、「前年度の反動」に加えて、「新校・新学科」、「新しい校舎」、「新しい制服」なども志願者数増加の要因となることがあります。さらに、大阪府の公立高校入試では国語・数学・英語の入試問題を、基礎的問題(A問題)、標準的問題(B問題)、発展的問題(C問題)の中から、高校が教科ごとに決められるようになっていますが、この入試問題の変更が影響したと思われるケースもあります。前年度から数学が発展的問題(C問題)に変更になった池田高校は前述のとおり70人減・1.00倍となり、難度の高いC問題を敬遠した生徒が北千里高校(31人増・1.30倍)や箕面高校839人増・1.20倍)、あるいは近隣の私立高校などへ移動した可能性があります。
統廃合や募集人員削減など募集に関わることが影響する場合もあります。例えば、門真西高校(71人減・0.43倍)は2027年度に募集停止となることが決まっており、その影響によるものと考えられます。また、長尾高校(61人減・0.56倍)は、2026年度の募集人員が2学級減(多くの場合は1学級減)となったことで、敬遠が進んだものと見られます。いずれも近隣の私立高校へ移動しているようです。
志願者数が減少する要因はさまざまですが、多くの場合は私立高校がその受け皿となっているようです。最後に参考データとして、2026年度に「専願者数」が前年度と比べて80人以上増加した私立高校を以下に掲載します。
《参考》2026年度に「専願者数」が前年度と比べて80人以上増加した私立高校(増加数の多い順)
宣真高校(池田市・124人増)、箕面自由学園高校(豊中市・123人増)、大阪夕陽丘学園高校(大阪市天王寺区・114人増)、太成学院大学高校(大東市・102人増)、履正社高校(豊中市・90人増)、大商学園高校(豊中市・88人増)、近畿大学附属高校(東大阪市・85人増)、羽衣学園高校(高石市・82人増)

【資料-5】2026年度に志願者数が45人以上減少した高校(減少数の多い順)
高校名学科名募集人員各学科の志願状況学校全体の志願状況
第1志望者数前年度との差学校全体の志願者数前年度との差学校全体の倍率
山田高校普通科360--412-761.14
旭高校普通科240245-75315-720.99
国際文化科77703
清水谷高校普通科280--319-711.14
門真西高校普通科160--69-710.43
池田高校普通科360--359-701.00
高槻北高校普通科280--244-670.87
長尾高校普通科160--90-610.56
松原高校総合学科240--178-540.74
桜和高校教育文理学科240--265-501.10
守口東高校普通科240--195-490.81
千里高校総合科学科155187-42371-481.19
国際文化科157184-6
阪南高校普通科280247-470.88
枚岡樟風高校総合学科16097-450.61

2028年度(令和10年度)公立入試(現・中学2年生が受験)から大阪は新制度に

大阪府では現在の中学2年生が受験する2028年度入試より、公立高校の入試制度が変更になります。ここでは変更点の中で、新しく導入される「学校特色枠」について【資料-6】で解説します。
新しい入試制度においては、各高校が独自に定める「学校特色枠」による第1手順で高校が求める生徒像に合致する生徒を優先的に合格とし、第1手順で合格とならなかった生徒、「学校特色枠」に応募しなかった生徒を対象に、第2手順では総合点(学力検査の成績と調査書の評定を合わせた得点)順に定員を満たすよう合格者を決めます。「学校特色枠」の選抜方法は各高校が定めますが、2028年度の選抜方法はすでに大阪府教育委員会より公表されており、ここでは具体例として文理学科を設置する10校(北野高校、大手前高校、高津高校、天王寺高校、豊中高校、茨木高校、四條畷高校、生野高校、三国丘高校、岸和田高校)の選抜方法を掲載しました。
まず、文理学科設置の高校においては「学校特色枠」の募集割合が募集人員の10%しかないことに驚くことと思いますが、さらに選抜方法としては、学力検査の国語、数学、英語の成績(270点満点、1教科は90点満点)の上位10%に達した生徒のみが合格できるというものです(北野高校、天王寺高校はエントリーシートの評価も含む)。
文理学科設置の10校では国語、数学、英語はすべて発展的問題(C問題)で実施します。難度の高い試験の結果で上位10%に入るという極めて厳しい条件だと思いますが、高い学力を有し、入学後もたゆまぬ努力を持続できる生徒に、特に入学してほしいということです。
なお、蛇足ですが、理科・社会の学力検査の成績や調査書の評定は「学校特色枠」の選抜方法には入っていませんが、「学校特色枠」で合格とならなかった場合は、第2手順の総合点による選抜になります。総合点ならば、学力検査は理科・社会も含めた5教科すべての成績、当然調査書の評定も含まれるということになりますので、学力検査も調査書もきちんと対策をしておかないと合格には近づけません。
近年、大阪府だけでなく全国的に、公立高校の志願者が減少した、倍率が下がった、定員が満たされず2次募集が過去最大規模になった、などの話をよく聞きます。ここまで述べてきたとおり、私立高校授業料無償化の影響であることは間違いないのですが、公立高校すべてが入りやすくなったかといえば、当然そんなことはありません。特に、大学進学指導に力を入れる高校(大阪ならば文理学科などを設置する高校など)においては、志願者が集中し高倍率となるケースもあります。
そして、文理学科の「学校特色枠」に示されたように、求められる学力のレベルは決して下がっているわけではありません。よって、入試の直前だけでは学習時間も足りません。早めに目標(志望校)を決めて、毎日少しずつ3年間じっくり学習を続けること、その目標設定のためにも中1・中2からいろいろな高校を見学したり、情報収集を進めていくことをお勧めします。

【資料-6】2028年度からの新しい入試制度
この記事を書いた人
進研ゼミ 高校受験総合情報センター長
浅野 あさの たけし
浅野 剛
元大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。30年以上にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は、中学生・保護者向けオンラインセミナーの講演をはじめ、中学校での進路講演なども担当。

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