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【神奈川県】2026年度(令和8年度):高校入試分析―入試結果はどうだった?

神奈川県教育委員会は、2026年度(令和8年度)公立高校共通選抜の受験・合格状況を発表しました。学力検査は2月17日(火)、合格者発表は2月27日(金)に行われました。
全体の動向と、倍率が大きく変動した高校・学科の状況について解説します。
※この記事では志願変更後の志願者数をもとに解説していきます。

【神奈川県】2026年度(令和8年度):高校入試分析―入試結果はどうだった?

全体的には競争がゆるやかになったが、学力向上進学重点校などは厳しかった2026年度入試

今年度の神奈川県公立高校入試は、「全体的には競争がゆるやかになったが、学力向上進学重点校などは厳しかった」といえます。
公立高校の志願者数は43,821人となり、前年度より2,254人減少しました。全体の志願倍率は1.11倍となり、過去5年間でいちばん低い数字となりました。
公立中学の3年生のうち公立高校を志願した人の割合は2026年度入試では66.0%となりました。昨年度に公立志願率が70%を切ってからさらに減少しています。
また、令和8年度は公立中学3年生の生徒数が前年度と比べほぼ横ばい(前年度比+15人)なのにもかかわらず、欠席者数が648人(前年度比+264人)と過去5年間で最多となりました。そのため、二次募集が45校・2,108人と大幅に増加しました。

一般募集共通選抜(全日制)の志願状況・受検状況(2022~2026)
20222023202420252026
公立中3生徒数67,08167,98467,01966,34066,355
募集人員40,53040,93039,94739,39539,431
志願者数(変更後)47,51348,08247,33046,07543,821
公立志願率70.8%70.7%70.6%69.5%66.0%
志願倍率1.171.171.181.171.11
受検者数47,03647,66746,87745,69143,173
受検倍率1.161.161.171.161.09
合格者数39,09339,46338,51637,94137,334
実質倍率1.201.201.211.201.15
2次募集(校・人)36校/1,521人37校/1,520人31校/1,448人38校/1,479人45校/2,108人
欠席者数477415453384648

なぜ受験する人が減ったの?

理由は私立高校に行く人が増えたことにあります。
国の就学支援金拡充(2026年度から所得制限撤廃・上限45万7,200円に引き上げ)を受けて、「私立でも費用の心配が少ないなら、自分に合った私立を選ぼう」という家庭が増えてきています。
なかでも、慶應義塾高校・日本大学藤沢高校・日本大学高校・慶應義塾湘南藤沢高等部・法政大学国際高校・法政大学第二高校・中央大学附属横浜高校などの大学附属校の増加が目立ちました。さらに、鎌倉国際文理高校では共学化も相まって大幅な増加となりました。「高校受験で大学附属に入れれば、大学入試の不安がなくなる」という考え方は以前からありましたが、私立高校の授業料が実質無償化となる動きによって「費用面で迷っていた」層が一気に踏み出した格好です。大学入試改革への不安が続くなか、附属校への需要は今後もさらに拡大する可能性があります。

受験者が増加した大学附属高校一覧
高校名受験者数増加数増加率
20252026
鎌倉国際文理高校219501282129%
慶應義塾高校1,2661,60033426%
日本大学藤沢高校1,1701,42925922%
日本大学高校8681,02715918%
慶應義塾湘南藤沢高等部1231432016%
法政大学国際高校876939637%
中央大学附属横浜高校775825506%
法政大学第二高校1,2401,312726%

ということは公立高校はチャンスなの?

決して、「公立高校はチャンス!楽に合格できる!」というわけではありません。横浜翠嵐高校のように相変わらず2倍前後の倍率が続いており、2人に1人程度が不合格という厳しい状況が続いている高校があるのが事実です。

受検倍率は横浜翠嵐高校が1.98倍、多摩高校が1.67倍に

2026年度も引き続き、学力向上進学重点校・エントリー校を中心に受検者が集中する傾向が続いています。まずは学力向上進学重点校の結果を見てましょう。

学力向上進学重点校の倍率結果一覧
高校名募集人員受検者数受検倍率前年度の倍率変化
横浜翠嵐高校3597121.982.00↘ほぼ同じ
多摩高校2794661.671.64↗上昇
湘南高校3595641.571.59↘ほぼ同じ
柏陽高校3194861.521.52→ 変わらず
横浜緑ケ丘高校2794251.521.44↗上昇
厚木高校3594391.221.14↗上昇
川和高校3594331.211.38↘下落
小田原高校3193631.141.23↘下落

★注目!倍率が大きく動いた高校とその理由

多摩高校
多摩高校の受検倍率はここ3年間で上がり続けています。

  • 2024年度:1.59倍
  • 2025年度:1.64倍
  • 2026年度:1.67倍

Q.なぜ倍率が上昇しているの?
A.多摩高校は川崎市北部(宮前区・麻生区・多摩区など)にある学校で、「学力向上進学重点校」に指定されてから大学進学の実績が年々上がっています。「横浜翠嵐高校はハードルが高いけど、大学進学に力を入れている公立に行きたい」という受験生が川崎エリアを中心に集まるようになっています。

横浜緑ケ丘高校・厚木高校
この2校は「昨年度の反動」で今年の倍率が上がりました。
Q.反動ってどういうこと?
A.昨年度の倍率が低かった学校は「あの高校、今年は入りやすかったみたいだよ」という情報が広まります。すると翌年は「じゃあ受けてみようかな」という人が増えて倍率が上がります。これを「倍率の反動」または「隔年現象(かくねんげんしょう)」と呼びます。

  • 横浜緑ケ丘高校:昨年度は1.44倍→ 今年度は1.52倍(+0.08ポイント)
  • 厚木高校:昨年度は1.14倍→ 今年度は1.22倍(+0.08ポイント)

つまり、「昨年度の倍率が低かったから今年も受かりやすい」は間違いです。むしろ揺り戻しがおきて倍率が上昇することが多いです。

では、続いて学力向上進学重点校エントリー校についても見ていきましょう。

学力向上進学重点校エントリー校の倍率結果一覧
高校名学科・コース募集人員受検者数受検倍率前年度の倍率変化
希望ケ丘高校普通科3595151.431.42↗ほぼ同じ
横浜平沼高校普通科3194311.351.32↗上昇
光陵高校普通科2793751.341.26↗上昇
茅ケ崎北陵高校普通科2793651.311.21↗上昇
大和高校普通科2793641.301.54↘大幅下落
相模原高校(県立)普通科2793491.251.28↘下落
横須賀高校(県立)普通科2793461.241.35↘下落
鎌倉高校普通科3594321.201.31↘下落
横浜国際高校国際科1391611.161.46↘大幅下落
平塚江南高校普通科3193651.141.37↘大幅下落
横浜国際高校国際科 国際バカロレアコース20201.001.20↘大幅下落

★注目!倍率が大きく動いた高校とその理由

平塚江南高校・大和高校・横浜国際高校
この3校は今年度、倍率が大きく下落しました。
平塚江南高校は、昨年度の1.37倍に対し、今年度は1.14倍と下がりました。結果を見た今年の受験生が「ちょっと競争が激しそう...」と敬遠したと考えられます。その影響からか近隣の茅ケ崎北陵高校(対前年受検者数+27人)・秦野高校(対前年受検者数+28人)・大磯高校(対前年受検者数+7人)がいずれも受検者数が増加しており、流れた可能性が高そうです。
大和高校では、昨年度が1.54倍という高い水準だったため、今年度は1.30倍(前年度から65人減)となりました。
横浜国際高校国際科では、1.16倍と大幅に下がりました。神奈川総合高校の普通科国際文化コースなど、英語・国際系の学習ができる他の選択肢との競合も一因として考えられますが、前年度1.46倍という高倍率の反動による敬遠が主な要因とみられます。国際科国際バカロレアコースについては実質倍率1.00倍という結果になりました。

横須賀高校(県立)
横須賀市・三浦市エリアの中学卒業予定者数の減少が影響し、倍率は1.24倍(前年度1.35倍)と下落しました。地区人口動態の影響が色濃く出ています。
生徒数の減少や私立高校授業料実質無償化の拡充など、公立高校を取り巻く環境は大きく変化しています。より魅力ある高校づくりと並行して、公立高校の学科改編や募集人員の見直しなども進められていますので、神奈川県教育委員会や各高校のWebサイトなどを定期的にチェックすることをお勧めします。

鎌倉高校
受検者数は2025年度入試が419人、2026年度入試が432人と増加しているのですが、募集人員が40人増加していることが要因で倍率としては下落する結果となっています。このように募集人員の増減が影響することもありますのであわせてチェックしましょう。

2026年度の再編・統合:南高校の募集停止が今年度入試にも影響か!?

神奈川県教育委員会は2016年度から2027年度までの12年間にわたる「県立高校改革実施計画」を進めており、令和8年度(2026年度)はその第III期(2024~2027年度)のなかで、1校の高校の募集停止と全日制高校2校の新設開校が行われました。
これらの変化は、今年度の入試における受験生の行動に直接影響を与えています。

●南高校――2026年度から高校の募集停止

横浜市立南高校は、2026年度(令和8年度)入試から高校募集を停止し、附属中学校からの内部進学のみとなりました。1クラス分(40人相当)の定員がなくなったことになります。
この募集停止は、今年度入試の受検生の動向に顕著な影響を与えました。南高校を志願していたであろう受験生が他校へ志願先を変更した結果、近隣・同偏差値帯の高校への集中が見られ、戸塚高校や松陽高校などに分散した可能性が考えられます。
募集停止校が出ることで翌年度の周辺校の倍率が大きく変動するという構図は、過去の再編・統合時にも繰り返し見られるパターンですので今後も注意が必要です。

●青葉総合高校(新設)――県内初の単位制総合学科クリエイティブスクール

田奈高校(横浜市青葉区・普通科)と麻生総合高校(川崎市麻生区・総合学科)を再編・統合し、田奈高校の校舎・敷地を活用して新設されたのが青葉総合高校です。県内初の「単位制総合学科クリエイティブスクール」として2026年4月に開校しました。校章は横浜美術大学の学生がデザインを担当するなど、開校前から地域との連携を意識した取り組みが話題になりました。
クリエイティブスクールは、中学校での学習への意欲や自信を十分に持てなかった生徒が、高校で意欲的に学び直せるよう設計された新しいタイプの学校で、学力検査を実施しない選考方式を採用しています。

定員規模については、統合前の田奈高校(4クラス相当)と麻生総合高校(5クラス相当)の合計9クラスから、青葉総合高校4クラスへと実質大幅に縮小されています。普通科・総合学科の定員が実質的に減少したことになり、地域の高校の選択肢に変化が生じています。

●小田原北高校(新設)――普通科クリエイティブスクールと工業科を併置

小田原城北工業高校(小田原市栢山・工業科4学科)と大井高校(足柄上郡大井町・普通科)を再編・統合し、小田原城北工業高校の校舎・敷地を活用して新設されたのが小田原北高校です。普通科(クリエイティブスクール)と工業系学科(機械科・電気科・建設科・デザイン科)を併置するという、普通科と工業科の併置校という新しい形態で2026年4月に開校しました。
統合前の小田原城北工業高校は全体で倍率が落ち着いており、とくに建設科の低迷が顕著でした。また、大井高校も定員に志願者が達さない状況にあり、両校とも県西地区の生徒数減少の影響を受けていました。新設の小田原北高校はこの2校の機能を統合し、多様な進路に対応できる形で再出発します。
なお、定員規模については、統合前の小田原城北工業高校(4クラス相当)と大井高校(2クラス相当)の合計6クラス相当から、小田原北6クラスへの移行となっています。

2027年度(令和9年度)以降に予定されている再編・統合まとめ

2027年度以降も県立高校改革は続きます。2027年度入試からは、旭高校と横浜旭陵高校が統合(旭高校の敷地を活用)、横浜桜陽高校と永谷高校が統合(横浜桜陽高校の敷地を活用)、藤沢清流高校と深沢高校が統合(藤沢清流高校の敷地を活用)となる予定です。横浜旭陵高校・永谷高校・深沢高校の3校はすでに2025年度入試より募集を停止しており、これらの統合によって生まれる新校への入試に向けて、周辺校の受験生の動向にも引き続き注目が必要です。
また、計画期間外の追加として、舞岡高校と金井高校、茅ケ崎西浜高校と寒川高校、秦野総合高校と秦野曽屋高校、上溝南高校と相模田名高校の8校を4校にそれぞれ再編・統合することも決定しており、2028年度以降に向けた準備が進んでいます。
志望校を選ぶ際には、自分が在学する3年間に当該校が存続しているかどうか、また近隣の統廃合によって選択肢がどう変わるかを含めて確認することが、今後ますます重要になります。神奈川県教育委員会や各高校のWebサイトで最新情報を定期的に確認することをお勧めします。

2027年度以降の入試に向けてやるべき3つのことは?

2026年度入試の結果も踏まえつつ2027年度以降の入試に向けてやるべきことを3つお伝えします。

① 内申点を今から積み上げよう
神奈川県の入試では、公立・私立を問わず内申点(学校の成績)が合否に直結します。公立では入試当日の点数と内申点の両方が評価されますが、私立でも推薦入試や書類選考型の併願では内申点が基準を満たしているかどうかが出願の条件になります。
今回の入試データでも、私立高校への志願者が増加傾向にあることが確認できました。「どちらを受けるか」を決める前に、内申点をしっかり積み上げておくことがすべての選択肢を広げる最短ルートです。毎学期の定期テストをコツコツがんばることから始めましょう。

② 「昨年度の倍率」だけで志望校を決めない
横浜緑ケ丘高校・厚木高校の例でわかるように、昨年度の倍率をもとに「入りやすそう」と判断すると、まったく逆の結果になることがよくあります。
これは公立だけでなく私立でも同様です。今年度は鎌倉国際文理高校が共学化となったように、学校の変化によって倍率が大きく動く例もありました。
倍率はあくまで参考情報。模擬試験の結果や内申点をベースに、しっかり対策できているかどうかで判断しましょう。

③ 行きたい高校の「教育内容」で選ぼう
倍率や偏差値だけで学校を選んでしまうと、入学後に「思っていた学校と違う...」となりがちです。また、大学附属校でも、内部進学の条件(成績基準など)は学校によって異なりますし、系列大学以外の大学を目指したい場合には選択肢が限られることもあります。
学校説明会やオープンスクールに参加して、「どんな授業があるか」「大学進学の実績や内部進学の場合の条件はどうか」「部活や行事はどんな感じか」を自分の目で確認しましょう。自分が「ここで3年間過ごしたい!」と思える学校を選ぶことが、受験へのいちばんのモチベーションになります。

この記事を書いた人
進研ゼミ『中学講座』 高校入試情報サイト編集長
加藤 かとう 成治 せいじ
加藤 成治
高校入試の最新動向や学習対策の情報発信に携わり、受験生・保護者のニーズにこたえる実践的な情報を届けている。これまで数多くの高校訪問や進路講演会を通じて得た知見を生かし、受験に役立つコンテンツの企画・監修を多数手がける。

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