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【神奈川県】2025年度(令和7年度)高校入試結果から見える二極化の傾向
2025年度(令和7年度)神奈川県の公立高校の入試結果を解説します。
※この記事で特に記載のないものは、全日制課程の一般募集共通選抜について説明しています。

【神奈川県】2025年度公立高校入試の動向
公立高校志願率は70%を下回った

公立中学校等卒業予定者に占める県内公立高校(全日制)への進学希望者の割合、つまり神奈川県の「公立高校全日制の志願率」は、2022年度入試以来横ばいでしたが、今年度の入試で久しぶりに大きく下がり、70%を下回る結果となりました。
「公立高校離れ」が進んでいると言えそうですが一方で、神奈川県の中学卒業予定者の約7割は公立高校の全日制課程への進学を希望している状況は変わりません。
募集人員の減少以上に志願者数が減少したが競争率に大きな変化なし

2025年度の志願者数は前年度から1,255人減少。一方で神奈川県教育委員会は、中学卒業予定者数の減少に伴い、公立高校の募集人員をあらかじめ552人減らしていましたので、結果的に志願倍率は1.17倍となりました。過去7年間は1.17倍から1.19倍で推移しており、例年通りの結果と言えます。
(参考) 例年8,000人前後の受検生が不合格となる厳しい入試
神奈川県公立高校入試は例年8千人近くの受検生が合格をつかめない、厳しい入試であることは従来通り変わりません。
(人) | 受検者数 | 合格者数 | 不合格者数 |
---|---|---|---|
2023年度 | 47,667 | 39,463 | 8,204 |
2024年度 | 46,877 | 38,516 | 8,361 |
2025年度 | 45,691 | 37,941 | 7,750 |
【神奈川県】2025年度公立高校入試は二極化傾向
横浜翠嵐高校などが高倍率となった一方で35校が "定員割れ"
普通科(単位制・コース含む)・総合学科に絞って競争率(受検倍率)を見ると、倍率上位20の高校・学科・コースは以下の通りです。前年度から倍率を上げた高校・学科も多く、大変厳しい入試となっています。
学校名 | 学科・コース名 | 募集定員 | 学力検査受検者数 | 2025年度競争率 | 2024年度競争率 | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|
横浜翠嵐 | 普通科 | 359 | 718 | 2.00 | 2.07 | ▲0.07 |
新城 | 普通科 | 269 | 482 | 1.79 | 1.38 | 0.41 |
神奈川総合 | 普通科個性化コース | 119 | 198 | 1.66 | 1.53 | 0.13 |
多摩 | 普通科 | 279 | 457 | 1.64 | 1.59 | 0.05 |
湘南 | 普通科 | 359 | 571 | 1.59 | 1.60 | ▲0.01 |
大和 | 普通科 | 279 | 429 | 1.54 | 1.42 | 0.12 |
橘 | 普通科 | 198 | 302 | 1.53 | 1.18 | 0.35 |
柏陽 | 普通科 | 319 | 486 | 1.52 | 1.37 | 0.15 |
岸根 | 普通科 | 319 | 473 | 1.48 | 1.32 | 0.16 |
住吉 | 普通科 | 359 | 517 | 1.44 | 1.27 | 0.17 |
横浜緑ケ丘 | 普通科 | 279 | 402 | 1.44 | 1.58 | ▲0.14 |
希望ケ丘 | 普通科 | 359 | 509 | 1.42 | 1.33 | 0.09 |
藤沢西 | 普通科 | 279 | 397 | 1.42 | 1.29 | 0.13 |
追浜 | 普通科 | 279 | 394 | 1.41 | 1.22 | 0.19 |
茅ケ崎 | 普通科 | 279 | 391 | 1.40 | 1.22 | 0.18 |
市ケ尾 | 普通科 | 399 | 549 | 1.38 | 1.18 | 0.20 |
神奈川総合 | 普通科国際文化コース | 89 | 123 | 1.38 | 1.30 | 0.08 |
川和 | 普通科 | 319 | 441 | 1.38 | 1.22 | 0.16 |
相模原弥栄 | 普通科 | 184 | 254 | 1.38 | 1.17 | 0.21 |
平塚江南 | 普通科 | 319 | 437 | 1.37 | 1.22 | 0.15 |
横須賀(県立) | 普通科 | 279 | 378 | 1.35 | 1.42 | ▲0.07 |
横浜立野 | 普通科 | 279 | 377 | 1.35 | 1.46 | ▲0.11 |
金沢 | 普通科 | 318 | 427 | 1.34 | 1.28 | 0.06 |
元石川 | 普通科 | 359 | 480 | 1.34 | 1.38 | ▲0.04 |
横浜清陵 | 普通科 | 266 | 357 | 1.34 | 1.49 | ▲0.15 |
湘南台 | 普通科 | 239 | 319 | 1.33 | 1.15 | 0.18 |
東 | 普通科 | 268 | 353 | 1.32 | 1.20 | 0.12 |
横浜平沼 | 普通科 | 319 | 421 | 1.32 | 1.34 | ▲0.02 |
鎌倉 | 普通科 | 319 | 419 | 1.31 | 1.50 | ▲0.19 |
港北 | 普通科 | 359 | 472 | 1.31 | 1.29 | 0.02 |
座間 | 普通科 | 279 | 365 | 1.31 | 1.28 | 0.03 |
七里ガ浜 | 普通科 | 399 | 523 | 1.31 | 1.42 | ▲0.11 |
横浜南陵 | 普通科 | 239 | 314 | 1.31 | 1.58 | ▲0.27 |
前年度より大きく上がったのが新城高校、橘高校で、川崎市内の公立中3生徒数の増加や、好調な大学進学状況などが影響して受検生が集まったと見られます。
▼【参考】【神奈川県】2025年度(令和7年度)公立高校共通選抜 倍率速報(志願変更締切時)
一方で、全日制高校の全学科において、競争率1.0倍未満、いわゆる"定員割れ"となった高校は35校ありました。欠員数は1,356人で、これは神奈川県内の公立中学卒業予定者数(66,340人)の約2%にあたります。(参考:2024年度は29校、欠員数1,321人)
このように受検生が多く集まる高校と、集まらない高校の二極化が神奈川県内の公立高校では起きていると言えます。
競争率が高い横浜北・横浜南地区に対し低い県西地区など
地区ごとにも二極化が起きていると言えそうです。普通科(単位制・コース含む)・総合学科の全体の競争率を比べてみました。
地区 | 募集定員(人) | 学力検査受検者数(人) | 競争率(倍) |
---|---|---|---|
横浜北 | 5,112 | 6,799 | 1.33 |
横浜南 | 2,927 | 3,871 | 1.32 |
鎌倉・藤沢・茅ヶ崎 | 4,121 | 5,155 | 1.25 |
川崎 | 4,056 | 4,793 | 1.18 |
横須賀・三浦 | 1,913 | 2,254 | 1.18 |
横浜中 | 4,334 | 4,973 | 1.15 |
相模原 | 2,684 | 2,917 | 1.09 |
平塚・秦野・伊勢原 | 2,679 | 2,890 | 1.08 |
県西 | 1,183 | 1,221 | 1.03 |
とくに競争率が高いのは横浜北地区。横浜翠嵐高校(2.00倍)を筆頭に、地区内16校(17の普通科・コース)がすべて1.10倍を超える激戦区と言えます。
また川崎地区は、全体では1.18倍ですが、前述の新城高校1.79倍(対前年+0.41)、多摩高校1.64倍(対前年+0.05)、橘高校1.53倍(対前年+0.35)、住吉高校1.44倍(対前年+0.17)と、前年度よりも倍率が上がった高倍率校が多く、厳しい競争となっています。
県西地区は、小田原高校の1.23倍、西湘高校1.15倍以外の普通科は1倍未満という結果に。平塚・秦野・伊勢原地区は、平塚江南高校1.37倍、伊勢原高校1.28倍などが高倍率でしたが、前年度から定員を40名増やした平塚湘風高校が0.80倍、そのほか秦野曽屋高校、二宮高校、秦野総合高校が1倍を切る結果となりました。
もともと普通科(単位制・コース含む)や総合学科を選択する生徒は、高校卒業後に大学進学をめざしていることも多いため、各地区で学力向上進学重点校・エントリー校を中心とした、探求活動や大学と連携した授業などに力を入れる「進学重視」の高校に受検生が集中する傾向があると言えそうです。
【神奈川県】2025年度学力向上進学重点校・エントリー校の動向
「進学重視」の高校に受検生が集中する"二極化"は、学力向上進学重点校およびエントリー校の競争率からも言えそうです。学力向上進学重点校およびエントリー校18高校19学科・コースの競争率は1.42倍。県内公立高校(全日制)全体の1.17倍と比べて非常に高く、これは2025年度に限らず例年の傾向です。

学力向上進学重点校およびエントリー校の各高校・学科の競争率を見ると、最高競争率と最低競争率の差は、2025年度は0.86ポイント、2024年度は0.85ポイントでほとんど同じでした。一方、最低競争率に注目すると、2024年度は川和高校・平塚江南高校の1.22倍だったのに対し、2025年度は厚木高校1.14倍と下がりました。
2年連続で最高競争率となった横浜翠嵐高校は、2024年度(令和6年度)卒業生の大学合格実績が好調だった影響で、2026年度公立高校入試の競争率はさらに上がることが予想されます。
学力向上進学重点校・エントリー校への受検生集中の傾向は今後もおそらく続きますし、各校の競争率もさまざまな要因によって変化します。とくにこうした高校を志望する生徒は、競争率がどう変わっても対応できるように、日頃から高い内申点を取っておくこと、入試本番で高得点を狙える実力をつけておくことが大切です。
【まとめ】競争率に左右されずに志望校合格を実現するためにしっかり対策を
ここまでご紹介したように、神奈川県公立高校は高校や地域、年度によって競争の状況が大きく異なります。
一方で、特徴的な教育の取り組みを行う高校や、大学進学実績のある高校などは、安定して高倍率になるという傾向がありそうです。
志望校を選ぶときは、どんな高校生活を送りたいのか、またその高校で自分が希望する進学が実現できそうかという視点で探すことが大切です。そして何よりも大切なのは、競争率に関わらず、合格できる内申点を獲得すること、そして入試本番で高得点を取れる実力をつけること。
第一志望校合格を目指せるよう日頃からコツコツ頑張っていきましょう。