最新入試情報

【愛知県】2026年度(令和8年度):高校入試分析―入試結果はどうだった?

愛知県では2023年度(令和5年度)から公立高校の入試制度が変更になり、一般選抜の学力検査が2回から1回に、また高校や学科の特色を生かした特色選抜が一部の高校、学科で実施されるようになりました。今回2026年度(令和8年度)で4回目となった新制度ですが、実質倍率(第1志願者の倍率)は0.98倍と1倍を下回る結果となりました。第1志願者数は前年度から1,595人の減少、第2志願者も含めた総志願者数は3,732人減少です。前年度と比べて生徒数はほぼ横ばいですので、要因としては私立高校授業料実質無償化の影響により、公立高校から私立高校へ志望が移動したことと考えられます。
今回は私立無償化の影響をにらみつつ、全体の状況と各高校の動きなどを考察していきます。
※全日制高校の情報となります。
※この記事では第1志願は第1志望、第2志願は第2志望と表現します。

【愛知県】2026年度(令和8年度):高校入試分析―入試結果はどうだった?

実質倍率(第1志望の倍率)は0.98倍と、前年度より大きく下降

愛知県の公立一般選抜では2校受検することができます(1校だけの受検も可能です)。また、普通科の通学区域(学区)は尾張学区、三河学区の2つあり、専門学科・総合学科は県内全域が学区となります。学校数の多い尾張学区は、さらに「尾張第1群」、「尾張第2群」に分かれ、三河学区は「三河群」となります。普通科2校に出願する場合は、同じ群の中でAグループから1校、Bグループから1校選び、第1志望校、第2志望校を決めて出願します。普通科と専門学科、総合学科を組み合わせた2校に出願することも可能です。
ところで、入試では志願者数÷募集人員で算出した倍率がありますが、第1志望者数と第2志望者数を合計した志願者総数÷募集人員で求めた倍率(表の中では、志願変更後という意味で「志願者総数の最終倍率」としています)はかなり高い数値になります。これは、第1志望者と第2志望者の中には重複している受検者(つまり同一人物)が多数いるからです。重複をさけるためには、第1志望者数(志願者の実数)÷募集人員で算出した実質倍率(【資料-1】の青い折れ線グラフ)を見ていく必要があります。
さて、この実質倍率は、2024年度は1.05倍、2025年度は1.03倍と推移してきたわけですが、2026年度は0.98倍と大きく下降して、1.00倍未満となりました。愛知県ではもともと国の就学支援金のほかに愛知県私立高等学校授業料軽減補助金が導入されていましたが、2026年度から就学支援金の所得制限が撤廃になり、これにより私立高校への進学を希望する生徒が増えたことが大きな要因と考えられます。また、授業料の実質無償化にあわせて、愛知県では私立高校の入学金の支援における所得制限を撤廃し、最大20万円まで補助されることになりました。以前と比べると高額な費用を負担しなくとも私立高校に通学できるようになったのでこの先もこの傾向は続くものと考えられます。

【資料-1】公立高校 一般選抜の実質倍率の推移

さて、志願倍率という観点で近年の推移を見てきましたが、そもそも志願倍率は競争率とも表現するくらいですから、競争の激しさ(混雑の度合い)を測る指標であって、志望校の動向など全体の傾向を分析するのには必ずしも適していない面があります。
そこで、【資料-2】では、公立高校を志願した生徒数÷公立中学校3年生徒数によって「公立志願率」を算出してみました。要するに、県内の公立中学校3年生のうち何%が公立高校を志願したか、という数値です。なお、推薦選抜や特色選抜などで2月の前半にすでに合格になった生徒(=推薦等合格)と、一般選抜において志願した生徒(第1志望)を合わせて公立高校の志願者としています。推薦選抜等で合格とならなかった生徒の中には、その後一般選抜を志願する生徒も多数おり、推薦選抜や特色選抜などの志願者とすると重複が発生するためです。
この公立志願率は、2023年度から2025年度までは概ね64%~65%程度で推移していましたが、2026年度には61%程度まで落ち込んでおり、2026年度に起こった大きな変化、すなわち私立授業料実質無償化が影響していることが明らかです。なお、愛知県の入学金支援における所得制限の撤廃については、入試の直前の公表であったことから、次年度以降の志望校検討に向けてこの影響が出てくる可能性もあります。いずれにしても私立志望増加の傾向はまだこれから進むものと予想します。

【資料-2】公立高校 公立志願率の推移

【尾張第1群・第2群】熱田高校2.09倍、向陽高校2.01倍、明和高校1.72倍

ここからは、重複を省いた志願者の実数である「第1志望者数」の前年度との差と、「第1志望の倍率」について、各高校別の状況を見ていきます。各高校の説明では「○○人増(減)・△△倍」のように、第1志望について前年度との差と倍率をセットであらわしていきます。なお、ある高校を第1志望校としたときの第2志望校を挙げていますが、第2志望校の選び方は個人によって異なりますので、あくまでも代表的な例として挙げています。また、尾張学区においては幅広く志望校を検討する観点から、第1群・第2群を合わせて見ていきます。
さて、ここでは第1志望の倍率が1.2倍以上の高校を、倍率が高い順に並べていますが、表の右側には新しい入試制度に変更になった2023年度以降、2025年度までの倍率も掲載してあります。その高校が例年どの程度の倍率なのかがわかります。
第1志望の倍率が最も高かったのは熱田高校で41人減・2.09倍です。2023年度には2.66倍になっていることから、2倍程度ならば例年並みの倍率の範囲ということになります。ちなみに前年度より41人減少していますが、近隣の私立高校などに移動しているものと考えられます。向陽高校も過去の倍率と比べると、10人減・2.01倍なら例年並み。明和高校も前年度が1.61倍とやや低めだったので、31人増・1.72倍と例年並みに戻ったということです。旭野高校は70人増・1.67倍と大幅に増加していますが、前年度が1.44倍とこれでも低めだったのでその反動で増加、例年並みに戻りました。桜台高校は2024年度1.83倍、前年度1.72倍という高倍率が続いた反動で34人減・1.57倍に、菊里高校も2024年度1.99倍、前年度1.66倍の反動で31人減・1.56倍とやや落ち着いています。
このように、前年度倍率が高かった高校は、翌年は受検生が敬遠して志願者が減少することがあります。反対に、前年度の倍率が低めだった高校は、翌年に志願者が増加することがあります。いずれも「反動」ということですが、翌年に反動が起こることが多い一方で、数年後に反動が起こることもあります。
例えば昭和高校は、75人減・1.49倍と大幅に減少しています。2023年度1.79倍、2024年度1.75倍、2025年度1.78倍と3年連続で高倍率が続いた反動と思われますが、名古屋市内、とくに昭和区、瑞穂区、千種区は私立高校が多いため、私立実質無償化となった2026年度は志願者が市内の私立高校に移動したと考えられます。参考までに昭和高校は第2志望も71人減でした。昭和高校を第2志望とする高校の例としては、前述の菊里高校のほか、半田高校も第1志望38人減・1.01倍となっており、第1志望者の減少と連動して代表的な第2志望者も減少しています。そのほか、第1志望が大幅に減少した例として、山田高校104人減・1.13倍、津島高校95人減・0.76倍などが挙げられます。山田高校は前年度の1.66倍という高倍率の反動で大幅減となり名古屋市内の私立高校などへ移動、津島高校も前年度が1.19倍と例年よりも高かった(2023年度0.86倍、2024年度0.92倍と推移)ことの反動と見られ、近隣の私立高校などへ移動した可能性があります。
近年は、私立高校を進学先として選択する生徒が増えています。私立高校では、普通科の中に複数のコースを設置している高校もあり、コースによって授業や進路に違いが出てくることもよくあります。志望校を検討する際は公立高校、私立高校を問わず、説明会などの機会を利用してその高校の授業やカリキュラム、卒業後の進路などもよく研究して決定されることをおすすめします。

【資料-3】尾張第1群・第2群で第1志望の倍率が1.2倍以上の高校(普通科)
高校名学科名2026年度2025年度2024年度2023年度
一般選抜等
募集人員
第1志望
者数(最終)
第1志望者数
前年度との差
第1志望の
倍率(最終)
第1志望の
倍率(最終)
第1志望の
倍率(最終)
第1志望の
倍率(最終)
熱田高校普通科267559-412.092.211.852.66
向陽高校普通科288578-102.012.102.122.08
明和高校普通科288494311.721.611.751.71
旭野高校普通科306512701.671.441.601.64
桜台高校普通科274430-341.571.721.831.27
菊里高校普通科286446-311.561.661.991.43
横須賀高校普通科256394141.541.471.171.15
旭丘高校普通科324488-121.511.541.661.67
昭和高校普通科316471-751.491.781.751.79
天白高校普通科29943191.441.401.121.34
一宮高校普通科288411-201.431.501.661.35
一宮興道高校普通科256358351.401.261.481.50
瑞陵高校普通科24132371.341.311.521.68
千種高校普通科252337261.341.241.441.43
緑高校普通科270361-221.341.421.220.92
木曽川高校普通科129167-221.291.391.161.28
名東高校普通科276357-251.291.351.571.28
名古屋西高校普通科305382-411.251.391.561.19
大府高校普通科193240-531.241.511.481.36
松蔭高校普通科305376-211.231.461.191.12
一宮南高校普通科271333-251.231.331.241.28
東海南高校普通科268328391.221.071.091.29
春日井高校普通科256313-221.221.321.231.19

【三河群】刈谷高校1.86倍、豊橋東高校1.54倍、豊田北高校1.32倍

続いて三河群ですが、尾張第1群・第2群よりも学校数が少なく、高倍率校も少なくなっています。刈谷高校は2024年度2.00倍、2025年度1.93倍と2倍程度の高倍率が続いた反動で29人減・1.86倍でした。反対に豊田北高校は1倍前後の低倍率が続いていたことから、81人増・1.32倍と大幅に増加しました。西三河の地域では刈谷北高校が2023年度1.48倍、2024年度1.20倍、2025年度1.25倍とやや高めの倍率が続いた反動で、今年度は63人減・1.03倍となっており、一部は刈谷北高校へ移動した可能性もあります。また、岡崎高校も2023年度1.44倍、2024年度1.50倍、2025年度1.35倍と高倍率が続いたこともあって、48人減・1.22倍と減少しています。
三河学区は尾張学区に比べると私立高校の数が少ないですが、2026年度は志願者数がかなり増えている私立高校もあります。授業料実質無償化は一つのチャンスですので、公立高校だけでなく私立高校も含めた幅広い情報収集と検討をしていきましょう。

【資料-4】三河群で第1志望の倍率が1.2倍以上の高校(普通科)
高校名学科名2026年度2025年度2024年度2023年度
一般選抜等
募集人員
第1志望
者数(最終)
第1志望者数
前年度との差
第1志望の
倍率(最終)
第1志望の
倍率(最終)
第1志望の
倍率(最終)
第1志望の
倍率(最終)
刈谷高校普通科346644-291.861.932.001.89
豊橋東高校普通科288443301.541.441.421.26
豊田北高校普通科304402811.321.070.981.02
岡崎北高校普通科286374151.311.311.211.42
西尾高校普通科259327-171.261.171.101.14
岡崎高校普通科360438-481.221.351.501.44
時習館高校普通科287350161.221.171.431.41
豊田西高校普通科27833341.201.181.301.26

【専門学科・総合学科】旭丘高校(美術科)3.23倍、瑞陵高校(食物科)2.36倍

専門分野を深く学習する専門学科は、1つの学科の募集人員が少ないことから、高倍率になりやすい傾向があります。旭丘高校の美術科は前年度よりやや減少したものの19人減・3.23倍と今年度も3倍を超えました。瑞陵高校の食物科も7人増・2.36倍で、前年度の2.25倍からさらに上昇しています。また、工芸高校(名古屋市東区)のデザイン科(40人減・2.10倍)、情報科(28人減・2.05倍)も前年度よりは減少し、例年に比べるとこれでも低いほうですが2倍を超えています。専門学科の学習は、将来の資格取得に役立つケースも多く、受検生の志望動機が強いため、特定の学科に集中し高倍率になっています。
一方で、総合学科で前年度に高倍率だった高校は大きく志願者が減少しています。前年度1.75倍の西陵高校(名古屋市西区、76人減・1.04倍)、前年度1.73倍の緑丘高校(名古屋市守山区、64人減・1.00倍)、前年度1.52倍の知立高校(知立市、90人減・0.75倍)などです。
しかし、2026年度が低倍率だった高校・学科では、次年度はまた志願者が増えて倍率が上昇する可能性もあります。毎年高倍率の高校・学科を第1志望にする場合には、9月、12月時点での進路希望状況調査の結果も参考にしつつ、第2志望の高校・学科や、私立高校なども含めて、いくつかの選択肢を用意しておく必要があります。とくに専門学科や総合学科を検討している場合は、高校入学後はどんな授業・科目を受けることになるのか、選択科目にはどんなものがあるのか、卒業生の進路はどうなっているのか、などをしっかり研究しておくことが大切です。学校説明会や体験・見学などのイベントを活用して、さまざまな高校・学科を見ておくことを強くおすすめします。

【資料-5】専門学科・総合学科で第1志望の倍率が1.6倍以上の高校
高校名学科名2026年度2025年度2024年度2023年度
一般選抜等
募集人員
第1志望
者数(最終)
第1志望者数
前年度との差
第1志望の
倍率(最終)
第1志望の
倍率(最終)
第1志望の
倍率(最終)
第1志望の
倍率(最終)
旭丘高校美術科2684-193.233.683.003.04
瑞陵高校食物科225272.362.251.502.04
工芸高校デザイン科2042-402.104.102.603.65
工芸高校情報科2041-282.053.452.152.80
木曽川高校総合ビジネス科3979102.031.771.511.64
工芸高校グラフィックアーツ科2039101.951.451.552.75
三好高校スポーツ科学科397461.901.791.892.22
豊田工科高校IT工学科・機械科・自動車科・電子工学科67124-101.851.441.120.95
千種高校国際教養科56101-91.801.962.092.04
刈谷北高校国際探究科2442-21.752.002.381.50
工業高校(市立)自動車科203551.751.501.601.50
工芸高校建築システム科203581.751.350.901.30
向陽高校国際科学科2848-101.712.071.792.39
工芸高校都市システム科203411.701.651.050.75
愛知総合工科高校理工科・機械加工科・機械制御科・電気科・電子情報科・建設科・デザイン工学科249422-271.691.601.651.05
三谷水産高校海洋資源科183001.671.881.751.80
工業高校(市立)電気科203231.601.451.351.15

高校・学科ごとに、募集人員、第1志望者数、第2志望者数、志願者総数、最終倍率などが一覧で発表されています。
詳しくは、愛知県教育委員会のWebサイトでご確認ください。

この記事を書いた人
進研ゼミ 高校受験総合情報センター長
浅野 あさの たけし
浅野 剛
元大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。30年以上にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は、中学生・保護者向けオンラインセミナーの講演をはじめ、中学校での進路講演なども担当。

最新入試情報

特集

勉強法

高校入試&進路ガイド

高校受験の準備から将来の進路選択まで、役立つ情報をまとめてチェックしよう!

無料体験教材のお申し込み ×