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【愛知県】2023年度:公立高校入試分析-入試結果はどうだった?
2023年度(令和5年度)の公立高校入試結果について解説します。
一般選抜の結果は
2023年度(令和5年度)の公立高校入学者選抜(全日制課程)の全体募集人員は41,920名で令和4年度42,040名から120名減りました。このうち、一般選抜だけの募集人員を考えると、推薦選抜と特色選抜、外国人選抜、単位制選抜、連携型選抜の合格者数(9,917名)を全体募集人員から引いた数となり、32,003名でした。これに対し、志願者数は59,129名で最終倍率は1.85倍でした。令和4年度入試は志願者数には、推薦選抜等と一般選抜の志願者が含まれた人数の発表でしたので、令和5年度の数字と比較はできません。
学校ごとの一般選抜等の合格者数はこちらからご確認ください。
公立高校志願者は減ったが、第2次選抜は昨年並み
2022年12月5日に実施された中学3年生への「令和4年度中学校等卒業見込者の進路希望状況調査-第2回-」では、県内公立高校(全日制課程)への進学希望者は62.9%で、前年度より1.3ポイント減り過去最低を記録した半面、県内私立高校(全日制課程)への進学希望者は23.2%で、前年度より0.1ポイント増という結果でした。
2006年度から2022年度の第2回進路希望状況推移
下の【全日制高校志願者数推移】を見ると、2017年度より公立全日制高校志願者が減り始め、私立全日制高校志願者が増えてきています。
また、【全日制高校以外志願者推移】を見るとわかるように、全日制高校志願者が減り始めた2017年度ごろから通信制高校、専修学校志願者が増えてきています。2017年度は愛知県の公立高校入学者選抜で推薦が一般入試と同日で実施されるなど変更があった年でこれがきっかけになったと考えられます。
さらに2020年度のコロナ禍や、2023年度入試制度変更で、公立高校の受検に不安を覚え、私立高校や通信制高校など進路希望先が多様化してきています。
実際に、令和5年度の全日制公立高校一般選抜の志願者総数は72,427名と昨年の74,324名から1,897名減りました。ただし、第2次選抜の募集人員は2,339名 67校1校舎 95学科と昨年の2,734名 72校1校舎100学科より減り、反対に志願者数は75名と昨年の36名より増えており、少しですが、第2次選抜では公立が選択されているようです。
また今年は五条高校、半田東高校の普通科、岡崎北高校の理数科などで第2次選抜募集が出ていましたが、このような高校が毎年必ず募集枠があるわけではありません。
高校名 | 学科名 | 募集人員 (人) | 志願者数 (人) |
---|---|---|---|
守山高校 | 普通科 | 23 | 2 |
瀬戸高校 | 普通科 | 23 | 0 |
瀬戸西高校 | 普通科 | 14 | 0 |
春日井東高校 | 普通科 | 32 | 0 |
日進高校 | 普通科 | 48 | 0 |
犬山高校 | 普通科 | 69 | 1 |
小牧南高校 | 普通科 | 46 | 1 |
丹羽高校 | 普通科 | 12 | 0 |
一宮北高校 | 普通科 | 82 | 1 |
津島北高校 | 普通科 | 49 | 1 |
津島東高校 | 普通科 | 11 | 0 |
稲沢緑風館高校 | 普通科 | 34 | 1 |
五条高校 | 普通科 | 6 | 1 |
半田東高校 | 普通科 | 19 | 0 |
常滑高校 | 普通科 | 80 | 0 |
高校名 | 学科名 | 募集人員 (人) | 志願者数 (人) |
阿久比高校 | 普通科 | 24 | 1 |
東浦高校 | 普通科 | 39 | 3 |
内海高校 | 普通科 | 30 | 1 |
武豊高校 | 普通科 | 87 | 0 |
衣台高校 | 普通科 | 15 | 0 |
松平高校 | 普通科 | 18 | 2 |
加茂丘高校 | 普通科 | 38 | 0 |
足助高校 | 普通科 | 33 | 0 |
岡崎北高校 | 理数科 | 5 | 2 |
岩津高校 | 普通科 | 48 | 0 |
幸田高校 | 普通科 | 65 | 0 |
一色高校 | 普通科 | 46 | 0 |
吉良高校 | 普通科 | 12 | 0 |
高浜高校 | 普通科 | 40 | 1 |
成章高校 | 普通科 | 26 | 0 |
福江高校 | 普通科 | 25 | 1 |
田口高校 | 普通科 | 25 | 1 |
すべての高校の第2次選抜の志願者数はこちらからご確認ください。
初めて実施された特色選抜の結果は?
2023年度(令和5年度) 愛知県公立高校入学者選抜(全日制)は、推薦選抜に加え特色選抜が実施されました。特色選抜は、本人の書く志望理由書と、面接、高校独自の検査の結果、調査書などを総合的に判断して合格者が決まる選抜でした。実施校数は77校1校舎(県立74校1校舎、名古屋市立3校)で志願者数は1,250名、合格者数は1,034名と志願者の合格率82.8%という結果でした。
特色選抜は、一部の高校・学科(校舎)でしか実施されません。普通科のうち特色選抜を実施した高校は30校でしたが、特色選抜の募集人員は高校によって大きく異なり5名から64名とさまざまでした。
高校名 | 入学検査の内容 | 定員 (~人程度まで) | 特色_志願者数 | 特色_合格者数 |
---|---|---|---|---|
惟信高校 | プレゼンテーション | 56 | 25 | 21 |
中村高校 | 基礎学力検査 | 16 | 31 | 11 |
瀬戸西高校 | 基礎学力検査 | 10 | 21 | 19 |
春日井高校 | プレゼンテーション | 5 | 3 | 3 |
豊明高校 | 基礎学力検査 | 20 | 18 | 18 |
津島東高校 | 作文 | 48 | 17 | 17 |
美和高校 | 作文 | 40 | 24 | 24 |
半田高校 | プレゼンテーション | 5 | 4 | 2 |
半田東高校 | プレゼンテーション | 6 | 3 | 3 |
常滑高校 | 基礎学力検査 | 5 | 4 | 4 |
東浦高校 | 基礎学力検査 | 20 | 5 | 5 |
内海高校 | 作文 | 16 | 2 | 2 |
武豊高校 | 作文 | 10 | 0 | 0 |
豊田西高校 | プレゼンテーション | 5 | 2 | 1 |
豊田高校 | 基礎学力検査 | 64 | 53 | 47 |
豊野高校 | 基礎学力検査 | 32 | 36 | 36 |
松平高校 | 基礎学力検査 | 24 | 4 | 4 |
加茂丘高校 | 作文 | 10 | 3 | 3 |
足助高校 | プレゼンテーション | 12 | 8 | 8 |
岡崎高校 | プレゼンテーション | 5 | 6 | 1 |
碧南高校 | 基礎学力検査 | 10 | 8 | 4 |
刈谷高校 | プレゼンテーション | 10 | 2 | 2 |
安城南高校 | プレゼンテーション | 8 | 1 | 1 |
一色高校 | 基礎学力検査 | 5 | 5 | 2 |
吉良高校 | 作文 | 32 | 13 | 10 |
豊橋南高校 | プレゼンテーション | 5 | 15 | 10 |
福江高校 | 基礎学力検査 | 8 | 2 | 2 |
小坂井高校 | 作文 | 14 | 18 | 11 |
北高校 | プレゼンテーション | 10 | 13 | 13 |
御津あおば高校 | プレゼンテーション | 24 | 44 | 33 |
また、志願者数が募集定員数を満たさず、出願者全員が合格した学校もあれば、募集定員数を満たしていなくても不合格者が出た学校、また合格者数が募集定員枠を超えた高校もありました。来年度、どの高校・学科で実施されるかは決まっていませんが、将来の進路目標やその高校・学科で学ぼうとする意欲、学科やコースに関連する分野での能力・実績などがある生徒にとっては、推薦選抜の他にも受検チャンスが増えていますので、検討してみるとよいでしょう。
特色選抜の実施は、推薦選抜には影響があったのか?
推薦選抜は、中学校長の推薦を必要とし、学力検査が課されず(一部の学科では実技検査=特別検査を実施)面接と推薦書、調査書等で合格者が決められる選抜でした。志願者数は11,894名、合格者数8,751名で志願者の合格率は73.6%でした。
推薦選抜はすべての高校・学科で実施されましたが、そのうち普通科の推薦選抜では募集人員の10~15%程度の募集としている高校・学科が多い中、20%以上合格者を出した普通科の学校は以下の表の18校でした。これらの高校のうち6校は特色選抜を実施していましたが、特色選抜を実施したことで、推薦選抜の合格者が少なくなるということはありませんでした。
学区 | 高校名 | 募集人員 | 推薦選抜等定員枠 | 推薦志願者数 | 推薦合格者数 | 推薦合格者割合 |
---|---|---|---|---|---|---|
三河 | 御津あおば高校 | 120 | 30%程度~45%程度 | 60 | 60 | 50% |
三河 | 幸田高校 | 240 | 30%程度~45%程度 | 50 | 50 | 21% |
三河 | 豊野高校 | 320 | 10%程度~15%程度 | 69 | 65 | 20% |
三河 | 安城高校 | 240 | 10%程度~15%程度 | 68 | 48 | 20% |
三河 | 豊橋南高校 | 240 | 10%程度~15%程度 | 52 | 48 | 20% |
三河 | 豊田高校 | 320 | 10%程度~15%程度 | 94 | 64 | 20% |
三河 | 碧南高校 | 240 | 10%程度~15%程度 | 75 | 48 | 20% |
三河 | 安城東高校 | 360 | 10%程度~15%程度 | 135 | 72 | 20% |
三河 | 蒲郡東高校 | 160 | 10%程度~15%程度 | 45 | 32 | 20% |
尾張1 | 鳴海高校 | 360 | 10%程度~15%程度 | 138 | 72 | 20% |
尾張1 | 尾北高校 | 240 | 10%程度~15%程度 | 72 | 48 | 20% |
尾張1 | 一宮西高校 | 320 | 10%程度~15%程度 | 99 | 64 | 20% |
尾張1 | 小牧高校 | 280 | 10%程度~15%程度 | 55 | 55 | 20% |
尾張1 | 富田高校 | 280 | 10%程度~15%程度 | 63 | 55 | 20% |
尾張2 | 西春高校 | 360 | 10%程度~15%程度 | 98 | 73 | 20% |
尾張2 | 春日井高校 | 320 | 10%程度~15%程度 | 96 | 64 | 20% |
尾張2 | 一宮興道高校 | 320 | 10%程度~15%程度 | 114 | 64 | 20% |
尾張共 | 大府東高校 | 240 | 10%程度~15%程度 | 53 | 48 | 20% |
専門学科は募集人員が少ない学科が多く、その中でも、国際系、理数系、探究系では30%~50%が推薦選抜で合格している学科もあり、これらの学科をめざす場合は、一般選抜の枠が小さくなり倍率が高くなることを前提に学力をしっかりつけていくことが大切です。
高校名 | 学科名 | 募集人員 | 推薦選抜定員枠 | 志願者数 | 合格者数 | 推薦合格者割合 |
---|---|---|---|---|---|---|
尾北高校 | 国際教養科 | 40 | 30%程度~45%程度 | 24 | 20 | 50% |
刈谷北高校 | 国際探究科 | 40 | 30%程度~45%程度 | 34 | 18 | 45% |
千種高校 | 国際教養科 | 80 | 30%程度~45%程度 | 59 | 26 | 33% |
向陽高校 | 国際科学科 | 40 | 30%程度~45%程度 | 31 | 12 | 30% |
名東高校 | 国際英語科 | 40 | 30%程度~45%程度 | 10 | 10 | 25% |
瑞陵高校 | 理数科 | 40 | 30%程度~45%程度 | 15 | 15 | 38% |
岡崎北高校 | 理数科 | 40 | 30%程度~45%程度 | 5 | 5 | 13% |
高校ごとの合格者数などはこちらからご確認ください。
納得のいく第一志望校を選び、合格できるだけの力をつけることが大切
2023年度から愛知県公立高校入試制度が変わり、推薦選抜に、特色選抜が加わり、一般選抜の前にチャレンジできるチャンスが広がりました。しかし、推薦選抜も、特色選抜も受検すれば100%合格できる選抜ではありません。さらに高校によっては推薦選抜に加え特色選抜が実施されるため、一般選抜の募集枠がかなり少なくなる高校もありました。そのため、一般選抜に向けた学力・内申点の確保が大切です。
公立高校入試では第1志願者が第2志願者よりも有利に扱われることはありません。一般選抜で合格するには、1点でも多くの内申点を確保すること。さらに学力検査で得点する力をつけることが大切です。
中3生の9月以降は、過去問や入試によく出るテーマなどでより実践的な力をつけて、学力検査での得点力をつけていきたいものです。そのためには夏までに苦手教科・単元が残らないよう復習をしていきましょう。出願直前になって倍率を見て焦らなくてすむように、今から実力をつけていきましょう。このように、2学期は取り組むことが増えて忙しくなるため、1学期に内申点対策に集中して、できるだけ内申点を確保しておくことが大切です。
中1・2生も、今から評定を上げておきましょう。一般選抜で提出する調査書(内申書)に記入される内申点は中3の評定のみが対象ですが、中3になってから評定を上げるのは難しいものです。また、中学2年生までの学習内容を理解し、苦手を潰しておくことも大切です。今からできる対策を進めて、第一志望校合格をめざしましょう。