勉強法
中学生の英語力は「教科書の音読」で伸ばす
英語力を伸ばす勉強法
中学での成績アップや高校入試のためだけではなく、将来に向けて「使える英語力を身につけたい!」と考えている方は多いはず。そこで、ベネッセ総合教育研究所で英語教育の理論や学習について研究してきた成果や中学の先生方にうかがったことをもとに、この回では、「中学生の英語力は「教科書の音読」で伸ばす」について解説します。
「英語力」とは、英語の知識(単語や文法)を「聞く・読む・話す・書く」の中で使いこなす力のこと
みなさんは、「英語力」と聞いてどんな力をイメージしますか?
中学生に聞くと「英語のテストで高得点が取れること」と答える生徒がたくさんいます。確かに英語力があれば、中学の英語のテストで高得点を取ることができます。ベネッセの調査などからも多くの中学の英語のテストで、主に単語や文法の知識が求められていることがわかっています。ですから真面目なお子さまほど「単語と文法を覚えて問題が解ける力をつけなきゃ」と感じているかもしれません。それはもちろん大切なことです。
一方、学習指導要領では、単語や文法の知識に加えて、それらの知識を『聞く・読む・話す・書く』などの実際のコミュニケーションで活用できる英語力を育てようとしています。
例えば文法なら、「その文法が含まれる英文を耳で聞いたり、目で読んだりしたときに、文の意味が理解できる」「英語を話したり、書いたりする時に伝えたい内容を表現するために必要な文法を頭の中から引っ張り出して使うことができる」ことなどです。
つまり英語力は「英語の知識を使いこなす力」なのです。ですから、例えば肯定文を否定文に直すといった「文の操作ができる」ということだけでは、英語力が十分あるとは言えないのです。
英語力を伸ばす第一歩は「教科書の音読」がおすすめ
英語力を伸ばすための基礎となる勉強法としておすすめしたいのが、英文を繰り返し音読することです。
さまざまな研究から「五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)のうち複数の感覚を使いながら覚えたことは記憶に残りやすい」ことがわかってきています。音読する時は目で英文を追いながら口で英語を話し、自分が発した英語の音を耳で聞くので、自然と複数の感覚を使うことになり、英文が覚えやすくなることが期待できます。
そこで、中学生の英語力を伸ばす第一歩としておすすめするのが、「教科書の音読」です。
教科書の本文には重要な文法や単語がバランスよく繰り返し使われています。音読することでそれらがしっかり頭の中で定着しやすくなります。
授業の復習として実際に音読に取り組んでいる中学生からも、「何度も音読するうちに、教科書の本文を暗記できた」「文を覚えたら、その中で使われている単語の意味や発音も身についた」といった感想を聞いています。音読はシンプルな勉強法ですが、英語力を伸ばす基礎となる、とても効果的な方法だと思います。
音読の前に内容を理解し、英語の音をインプットする
「教科書の音読」を始める前に、教科書のCDなどでネイティブスピーカーが話す音声を聞いたりして、英語の音をどんどんインプットしましょう。その時に、英語の音を聞いて意味がしっかりわかるようになっておくことが大切です。
英語を母語とする人は、生まれたばかりで言葉の意味がわからないうちから身近な人が話す英語を聞き、その意味を文の塊で理解するようになり、それをマネして自分でも話し始めます。
しかし、日本人の多くは英語が母語ではないため、英語にふれる機会は限られています。学校の授業で聞くだけではインプットの量が十分ではないので、少しだけ聞いて、次に文字を見て、同じようにマネをして英語を再生することは難しいのです。
ですから、まずはたくさんの音をインプットすること(聞くこと)が大切です。たくさん聞くことによって、「これは完了形で、この単語は目的語として使われているな」などといちいち考えなくても、英文の意味が反射的にわかるようになります。
基本的な英文の塊が頭の中に定着すれば、それを次に別のところで聞いた時にも意味がわかります。すなわちリスニング力も上がることになります。
英語力を伸ばすには、まずは意識してたくさんの英語の音を聞くことが大切です。中学生の場合は教科書を音読しながら、基礎となる文法や単語を記憶し、英語力を伸ばしていってほしいと思います。
その際に大事なことは、正しい方法で音読できるかどうか。音読の正しい方法については、「英語力を伸ばす「正しい音読」のコツ」でお話ししましょう。
編集協力:横堀夏代