みんな電力株式会社 長島遼大

コンセントの先には誰がいる?
つくり手の顔が見える
社会をめざす
みんな電力株式会社 長島遼大

PROFILE

企業や個人に電気を供給する小売電気事業者の1つ「みんな電力」に入社して2年。社長室プロジェクト推進チームで、個人向け営業や契約中の顧客の満足度向上施策などに携わる。休日は地元の農家や市民とともに畑を耕す。

どんな電力会社なのか教えてください。

生産者の思いを乗せた、
エコな電気を供給する

2016年の「電力自由化」によって、電気を買う会社が選べるようになったのはご存知でしょうか。私たち「みんな電力」は、風力、水力、太陽光などの再生可能エネルギー、つまり自然の力を利用したエコなエネルギーを扱う発電所から電気を調達し、企業や家庭に売る会社です。

特徴は「顔の見える電力™」。Web上に電気の生産者一覧を掲載して、誰がどんな思いで発電しているのか、わかるようにしています。大規模な発電所だけではありません。今は個人でも、つくった電気を売ることができる時代。民家や団地の屋根にソーラーパネルをつけた、小さな発電所もたくさんあります。

私の仕事の1つ、「発電所ツアー」は、お客様とともに再生可能エネルギーの発電所に伺い、生産者の話を聞くというもの。電気をつくる人と使う人が出会う機会なんて日常生活ではめったにありません。「いつも電気をつくってくれて/使ってくれてありがとうございます」といった会話がなされ、お互い感動してくれる。それまでになかったつながりが生まれることにやりがいを感じます。

大規模な火力発電所の電気も、そうした生産者がつくる電気も、質は同じです。でも、環境にやさしく、思いがこもっている方の電気を買いたがる人が増えています。「顔の見える豊かさ」を広げられている実感がありますね。

企業活動を通じて、20年後、
どんな世の中をめざしていますか?

あらゆる分野に、つくる自由、選ぶ自由を

私たちは今後、電気に限らず、つくった人や提供した人を見えるようにするサービスを広く展開しようとしています。最近始めた事業「みんなエアー」は、店舗やオフィスの空気に含まれる菌類やウイルスの量を知ることができるサービス。もし喫茶店や美容室に行くなら、少し高くても空気をきれいにしている店を選ぶ人が多いんじゃないか、と考えました。

個々のスマホのバッテリーが、どこでどのようにつくられたかをわかるようにする事業も検討中です。バッテリーに使われる鉱物の一部には、児童の不当労働によって採掘されている例があるといわれます。健全な労働によってつくられたバッテリーを選べるようになれば、遠い国の不幸な状況の改善につながるでしょう。

今まで見えていなかったものが見えるようになり、実はそこに選択肢があるということに気づく。自分が価値を感じるものを納得して選べる。さらに分野によっては、自分の思いを込めたものを社会のために生み出せる。こうした流れを大きくして、20年後には、電気も空気も、またそれ以外のさまざまなものについても、一部が独占するのではなく、誰もがつくったり選んだりできる世の中にしたいと思っています。

環境分野で働くことになったきっかけは?

顔が見えると、
心が豊かになることに気づいた

物心ついたときからサッカーひと筋。プロをめざす人もいる環境で、毎日ボールを追いかけていました。中学や高校でも部活に夢中で、環境問題について何か積極的に動いていたわけではありません。ただ、僕らの世代は当たり前のように授業で環境問題が扱われていて、特別なきっかけがなくても関心はもっていました。

大学時代、民泊を行っている福島の有機農家を訪ねる機会がありました。農作業を手伝い、生産者の方と話し、採れた野菜をいただくと、それがとてもおいしく、豊かな気持ちになりました。なぜだろうと考えたら、野菜の品質がいいのはもちろん、震災の被害を乗り越えて生きる、つくり手その人の顔を見ながら食べたからだと気づいたんです。

電気は、それなしでは生活が送れないほど身近なものなのに、日頃それがどこから来ているかを意識することはほとんどありません。野菜のような目に見えるものだけでなく、電気という目に見えないものまで、つくり手を知ることができれば、豊かな気持ちがあふれる社会になるはず。そんな価値観をもっと広めたいと思ったのが、この会社に入った理由です。

未来に向けて、
中学生とその保護者に
できることはありますか?

心のアンテナが反応する理由を探って

私たちが主なフィールドとしている環境分野ひとつとっても、制度や技術、また地球の気候そのものが、毎年大きく変動しています。それ以外の分野も変化が激しく、未来のあり方はなかなか予測できません。そんな時代に必要だと思うのは、自分がどういうときに心が動くのかを把握しておくこと。それがわかっていれば、世の中がどう変わろうと、やりたいことを見つけられるからです。

楽しい、悲しい、感動した…。感情が動いたら、なぜだろうと、ちょっと振り返る。心がどんなときにざわめくかを観察し、それを蓄積するうちに、熱くなれる対象の共通項が見えてきます。私もサッカーを通して、目標を共有して協力し合うおもしろさに気づけていたから、この仕事を見つけたときにピンときたのだと思います。

ネットなどで、独創的なコンテンツを展開する強烈な個性の持ち主を何人も目にして、「自分には何もない」と悩むお子さんが増えていると聞きますが、大切なのは、あくまで自身の価値観をものさしにすること。私が子どもなら、人と比べるよりも、自分にとって価値があると感じること、思いを込めて取り組むことが大事だと言ってもらえたら、勇気がわく気がします。そうした誰かの熱い思いを伝えたり、受け取ったりできる仕組みを社会に広げる仕事を、これからも続けていきたいですね。

みんな電力株式会社

Special Interview 『未来への鍵』

未来を予測しにくい時代だからこそ、これからの進路を幅広く考えることも大切です。20年後、今の中学生が大人になったときともに社会で活躍しているであろう挑戦者たちに、未来を生き抜くヒントを教えてもらいました。

『未来への鍵』 連載記事の一覧はこちら

取材・文 / 児山雄介(オンソノ)

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