ユーグレナ 出雲充

若い力とともに世界を救う技術を
生み出したい
ユーグレナ 出雲充

PROFILE

株式会社ユーグレナ代表取締役社長の出雲充さん。東京大学在学中、動物と植物の特徴を併せ持つ藻の一種「ユーグレナ」に着目。起業後、世界で初めて食用屋外大量培養に成功。ユーグレナを使った食品、化粧品の販売、バイオ燃料の開発等を行っている。

20年後、どんな未来になっていると
思いますか?

ユーグレナ

日本や世界を救う革新的な技術が
生まれている

「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」といった、人や地球が続いていくための17の課題を挙げた国連のSDGs(持続可能な開発目標)。2030年までの達成がめざされており、残された時間は10年を切りました。

ハッキリ言って、どれも難題です。これまでの技術の延長線上では解決は難しいでしょう。でも私は、それほど悲観していません。近年の科学の進歩は、人の理解を超えているからです。

およそ20年前、私が学生時代、人の遺伝子(ヒトゲノムの解析)を読み取るのに13年間、30億ドルかかったといわれています。それが今や1週間、10万円でできる。携帯電話の通信速度も、ほぼ同じ期間でおよそ1000倍になろうとしています。この20年で、生命科学や通信技術の常識はすっかり置き換わりました。であれば、日本や世界を救う全く新しい技術がこれから10~20年の間に生まれてもおかしくないと思いませんか。

出雲さんが未来のためにチャレンジ
していることを
教えてください

ユーグレナ

ユーグレナによるSDGsのゴール達成を、
本気でめざしています

私たちがユーグレナ(和名ミドリムシ)を使ってめざしているのも、人類の飛躍的な進歩を実現する技術です。ユーグレナには、貧困から生じる飢餓を解決できる、豊富な栄養分が含まれています。ユーグレナから取り出した油は車や飛行機の燃料として使えるので、エネルギー問題や環境問題の解決に貢献できます。ユーグレナで、2030年までのSDGsのゴールのうちいくつかを本気で達成するつもりでいます。

「できるわけない」といった声があるのは知っていますし、もう言われ慣れています。時代を変えるレベルの技術は常識から外れているので、最初は信じてもらえなくて当たり前。そもそも起業当時、月に耳かき1杯くらいしか培養できなかったユーグレナを「世界を救う」素材に選んだ時点で、理解者はほとんどいませんでした。それが今では大量培養を行い、ユーグレナ入りクッキーを難民キャンプで配り、ユーグレナ由来の燃料を使ったバスが走っています。

何を言われても、続けられたのはなぜか。私の例で言えばそれは、大学1年生の夏休みに見たバングラデシュの光景でした。米はあっても野菜や肉がなく、栄養不足に苦しむ子どもたち。河川の氾濫などが多く、野菜や肉の生産が難しい土地柄であるため、国連などが援助をしても根本的な解決は望めない。今、人類が持っている知恵が通用しない地域があることに、心をえぐられたのです。これを救えなければ生まれてきた意味はないと感じ、以来、だれに何を言われても動じなくなりました。

世界を変えたいというほどの意欲は、
どうしたら持てるのでしょう?

ユーグレナ

居心地の悪い場所に身を投げ出して、
常識をリセットする

「夢を持とう」「熱中できることを見つけよう」と大人から言われて困っている中学生が多いと聞きますが、それはむしろ当然なことではないでしょうか。なぜなら今の日本は満ち足りすぎて、本当の意味で居心地が悪くなる、理不尽で悲しい経験はできないからです。

友達と比べてどうだとか、勉強ができる、できないとかそんなレベルではなく、自分が経験してきたすべてのものが否定される、消し飛んでしまうような体験をしなければ、一生を捧げてもいいと思えるものになんて出合えっこない。常識が通じないところ、一番行きたくない、見たくない、居心地の悪い場所に身を投げ出すことができるか。それができる人は、追い求めたいテーマが見つかるし、繰り返し努力し続ける人になれると思います。

お子さんが自分からそういう世界に行くと言い出したら、どれだけ見守れるか。行動を起こす意志を持ったときに、それがどんなに突拍子もないことでも応援できるか。家庭の中で、お子さんの挑戦に前向きな環境をつくることが、保護者の方の大事な役割だと思います。

会社の運営に、中学生を含む
子どもたちが入っていると聞きました

ユーグレナ

未来をよくするためには、
その当事者の声が必要

私たちの会社で働く仲間も社会では若い方ですが、それ以上に中学生は、未来を生きる当事者なわけです。未来を変えようという企業に、当事者の声を取り入れる制度がないのはおかしいということに気づき、2019年に「CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)」と、「サミットメンバー」という18歳以下の若者限定の職務を設けました。500人以上の応募者の中から選ばれた12~18歳の若者たちに、SDGsをはじめとする未来に向けた取り組みを検討してもらっています。

生命科学や通信技術がこれだけ進化した現代に学ぶ人に、一世代前の我々はどうやっても勝てなくなるでしょう。だからこれからは、若い人に教えを請うつもりです。私たちも懸命にやっていますが、CFOたちのほうが必死に未来をよくしようとしています。科学技術の発展を信じ、若い力とともに歩んでいけば、世界が抱える深刻な課題の多くは近い将来、必ずなくせます。

株式会社ユーグレナ Webサイト

ユーグレナ
Special Interview 『未来への鍵』

未来を予測しにくい時代だからこそ、これからの進路を幅広く考えることも大切です。20年後、今の中学生が大人になったときともに社会で活躍しているであろう挑戦者たちに、未来を生き抜くヒントを教えてもらいました。

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取材・文 / 児山雄介(オンソノ)
人物撮影 / 荒川潤
編集 / 横田真里子

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